CASE STUDY

3DPプロセスパラメータ開発の自動化で1日分の作業が20分で完了

4 分で読めます|出版 11月 8, 2021
 プロセス開発用のサンプルを3Dプリントする人

金属アディティブ・マニュファクチャリング(AM)のための新しい材料、プロセス、または装置を適格に評価するためには、多くの時間と労力が必要です。レーザー出力、スキャン速度、ハッチ距離、レイヤーの厚みなど、さまざまなパラメータの関連性を検証するために、多くの実験を行わなければなりません。テストの設定、データの追跡、結果の分析などに必要な時間は計り知れません。Rosswag Engineering社は40種類以上の材料を評価した経験があり、彼らのチームはこれらの作業とそれに伴う困難を良く知っています。しかし、Materialise Process Tunerを彼らのワークフローに導入してから、この作業効率は良い方向に変わっていきました。

チャレンジ

400を超える金属材料の加工に100年以上の経験を持つRosswag社は、3Dプリント分野への進出に適したポジションにいました。2014年以来、Rosswagチームは40以上の金属材料をAM用に認定し、60,000以上のパーツを製造してきました。

Process Tunerを使用しない場合のプロセスパラメータ開発ワークフローのイメージ図
Process Tuner無しのプロセスパラメータ開発ワークフローは想定を超えた手作業が必要です。

金属材料の品質評価という役割の中で、チームは多くの時間をテストとパラメータの検証に費やします。しかし、前述したように、これらの作業にはさまざまな課題があります。

「パラメータ最適化のためのデータ処理と生産計画は、常に多くの手作業を必要としていました」。とRosswag社のビジネス開発マネージャーのPhilipp Schwarz氏は説明します。「テストの度に、異なる組み合わせのパラメータ値を手動で設定し、それを記録として文書化する必要がありました。必要なテストが多ければ多いほど、この作業に時間がかかります。例えば、400個以上のテストキューブを使用した調整には少なくとも丸1日はかかりました」。

3Dプリンターで作られた金属サンプル
実験では、既存の合金であっても、新しい合金のパラメータを新たに開発する場合であっても、このような造形サンプルを20個から100個以上必要になることもあります。

しかし、彼らが直面した課題は、このような膨大な時間と労力を要するものだけではありませんでした。適切なデータベースがない状態でデータを設定・追跡すると、ヒューマンエラーのリスクが高くなるのです。例えば、パラメータ値の誤ラベリングなどにより、テスト全体を台無しにしてしまう可能性があります。

ソリューション

手作業が多いことが企業の課題となっている時、作業の自動化は往々にして理想的な解決策となります。Rosswag社のアディティブ部門が Materialise Process Tunerの機能について知ったとき、彼らは実験計画法(DOE)を実行する上での可能性に期待を寄せました。Process TunerはMaterialiseの新しいソフトウェアソリューションで、自動化されたワークフロー、インサイト、および組み込みデータベースにより、共同でのプロセスパラメータ開発を効率化します。

Process Tunerでの作業は非常にシンプルで、自動化されているため失敗のリスクもありません。

— Rosswag社ビジネス開発マネージャー、Philipp Schwarz氏

Materialiseのプロダクトマネージャー、Vivek Chowdary Penumarthiは、「Rosswag社のチームと会い、プロジェクトについて知ったとき、彼らが当社のProcess Tuner検証プログラムに最適だと思いました」と語っています。「このコラボレーションにより、彼らは初期バージョンのソフトウェアを使用してワークフローを改善することができ、我々は彼らの貴重なフィードバックを受けてソリューションを継続的に改善することができました」と述べています。


ノートパソコンでProcess Tunerを使う男性
Materialiseの検証プログラムに参加し、Process Tunerに関する貴重なフィードバックを提供してくれた Rosswag チーム

Materialise Process Tunerは、すべての実験を自動化して作成、追跡できるためRosswag社のプロジェクトに適していました。「このソフトウェアを使用すると、複雑な多次元パラメータ実験をより速く、より効率的にセットアップして実行することができます。Process Tunerでの操作は非常に簡単で、自動化されているのでミスのリスクもありません」とPhilippは述べています。

 Build Processorsとのシームレスな統合により、ユーザーはボタンをクリックするだけでスライスおよびハッチングされたジョブファイルを生成することができます。次に、ジョブファイル、プラットフォームファイル、パラメータなど、造形に必要なすべての情報がデータベースに自動的に保存されます。

Process Tunerによるプロセスパラメータ開発ワークフローのイメージ図
Process Tunerは、自動化されたステップと組み込みデータベースによって、プロセス開発を簡素化します。さらに、ZEISS AMパラメータは、試作品の欠陥や変形を迅速、経済的、かつ自動化された方法で解析することを可能にします。

このワークフローと ZEISSのソリューションを組み合わせることで、材料やパラメータ検証のための分析をよりシンプルに行うことができました。Rosswagは、ZEISSのAMパラメータを使用して、テストパーツのさまざまな場所(バルクエリア、薄壁、オーバーハング、シリンダー、輪郭など)の空隙率を迅速かつ自動的に測定します。テストパーツの特徴は、最終的に造形されるパーツに応じてカスタマイズすることができます。このコラボレーションは、ラボでのテストや結果の分析に必要な労力に大きな違いをもたらしました。


結果

Rosswag社では、Materialise Process Tuner によりDOEのワークフローを大幅に改善することに成功しました。通常は約3時間、時には1日以上かかっていたデータ準備が、20~30分で出来るようになったのです。以前はサンプルの数がデータ準備プロセスの時間と労力に大きな影響を与えていましたが、Process Tunerの使用でサンプル数に関係なく、データ準備の時間は20~30分に短縮されました。

結果としてRosswag社のチームは現在、月平均20時間以上のエンジニアリング時間の節約ができています。「私たちは、粉末の微粒化から造形サンプルの材料特性まで、2週間以内に新しい合金の初期評価をお客様に提供しています。Process Tunerのおかげで、このような非常に早い開発サイクルを実現することができました」とPhilipp氏は説明します。

プロセス開発用のサンプルを3Dプリントする人
Build Processorsとの統合により、ボタンをクリックするだけでスライスやハッチングされたジョブファイルを生成

「このようなコラボレーションは、アディティブ・マニュファクチャリングの産業化を早めるためにとても重要です」とPhilipp氏は締めくくります。「この素晴らしい技術の限界を超えたいと考えている業界の仲間と協力することが重要なのです」。

現在、Rosswag社もProcess Tuner Simulationのベータ版を検証しています。MaterialiseとRosswag社の両チームは、この2Dシミュレーションツールが、最適なプロセスウィンドウを達成するために必要なビルドの総数を減らすことができると強く確信しています。

ZEISS®はCarl Zeiss AGの登録商標です。


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上記CASE STUDYについて

業界

金属3Dプリント

ソリューション
  • Process Tunerにより、複雑なパラメータスタディのセットアップを自動化
  • レーザー粉末床溶融方式(LPBF)
アプローチ

パラメータ検証の設定にかかる時間の短縮

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