EXPERT INSIGHT
Ziggzagg社とのコラボレーションの推進力:MagicsのNesterモジュールによるAM業界の発展と成長
アディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、ここ数年で大きな進歩を遂げました。かつては3Dプリントの付加価値を企業に理解してもらうことが課題でしたが、今ではそれを克服し、次の段階へと進んでいます。AMをより広く普及させるためには、製造業者とサプライヤーが協力し、導入のスピードを高めることが重要です。では、それを実現するにはどうしたらよいのでしょうか?その鍵は、お互いの壁を取り除いて成長を後押しすることにあります。AMソフトウェアを活用してプロセスの効率化を図り、大量生産を可能にすることで、各社が力を合わせて取り組むことが必要なのです。
この道のりは、単純な一本道ではありません。 Ziggzagg社は、長年にわたるパートナーシップの中でMaterialiseのソフトウェアを活用し、数々の試行錯誤を経て、Materialiseの3つのAMソリューションが成果達成に大きく寄与する結果を生み出しました。Ziggzagg社は、 Magics と Nester モジュールを10年以上にわたり活用し、3Dプリント部品製造の効率化、品質の向上、一貫性のある生産、および生産量の増加を実現しています。最近では、Magics ソフトウェア開発キット (SDK) を造形準備のワークフローに統合し、さらに生産プロセスの効率を向上させ、顧客に優れたAM部品を提供できる体制を整えました。
Ziggzagg社は産業用3Dプリントを牽引する企業であり、医療、義肢・装具、モビリティ、機械設備、消費財など幅広い分野でその技術を活用しています。Michael Vandezande氏(Ziggzagg社CCO)は、「私たちはお客様から多様な部品のご依頼をいただき、試作品から量産まで幅広いニーズに対応しています。また、お客様には私たちが提供する製品、専門知識、品質、迅速な対応に信頼を寄せていただき、当社を選択することで、最適なソリューションをご提供できると感じていただきたいと考えています。」と話しています。
このような高い基準を維持するためには、これらの要件を満たすことができるソフトウェアが必要です。そこで、Materialiseの 造形準備ソフトウェア が力を発揮します。
ネスティング(パーツ配置):他に類を見ないパズル
ネスティング(パーツ配置)は重要なプロセスであり、まるでパズルゲームのテトリスのようなものです。オペレーターは、レーザー焼結(SLS)やマルチジェットフュージョン(MJF)のパウダーベッドにできるだけ多くのパーツを密に配置し、限られた空間を最大限に活用する必要があります。このステップは製造プロセスにおいて不可欠であり、効率的な生産資源の活用と、一貫した部品の品質を保証する役割を果たします。
「ネスティング(パーツ配置)は製造プロセスの中で非常に重要なステップです。」と、Michaelは言います。ネスティングを効果的に行い、配置密度を高くすることは、より多くのパーツを造形でき、利益率増加につながります。また、ネスティングとそれに関連する情報、例えば配置の向きや配置するパーツの数が、製品の品質に直接関わってきます」。
ネスティングは非常に重要なプロセスであり、これを誤るとビジネスに深刻な影響を及ぼし、造形エラーや変形パーツ、材料の無駄につながる可能性があります1。
「Magics Nester(3D自動配置)モジュールを導入する前は、製造工程においてすべてを手動で確認し、正確性を目視で判断していました。言うまでもなく、そのプロセスは非常に時間がかかり、1回の造形に2〜3時間もかかっていました。それは苦痛そのものでしたが、他に選択肢がありませんでした。
その後、2013年か2014年にMagics Nesterモジュール(旧製品名Sinterモジュール)のことを知り、Magicsを長年使用している私たちは、その効率性と信頼性に惹かれ、試してみることにしました。Magicsは創業以来、私たちのプロジェクトに不可欠な存在であり、データ修正、カット、パーツの中空化など、さまざまな場面でその高い能力を発揮してきました。Nesterモジュールを導入することで、製造プロセスは大きく改善され、効率が向上しました。」とMichaelは述べています。
Magics Nester (3D自動配置)モジュール は、Materialiseのソフトウェア事業および製造部を支援する目的で開発されました。しかし、その後すぐに、この機能がお客様や3Dプリント業界全体に大きな価値を提供することができると気づきました。実際にZiggzagg社のような企業は、ツールの機能を活用し続けています。
Materialise創設者であるFried Vancraen(フリード・ヴァンクライン)は、Magics Nester モジュールは自社内向けに開発されたと述べています。しかし、市場調査を行った結果、製造業者や広範なAM市場がこの新技術を活用できると判断しました。当社の製造部門では、このMagics Nesterモジュールにより、ネスティング(パーツ配置)の時間を従来の半分に短縮することが可能になりました。 10台の装置で4時間から2時間へ、、、効率の大幅な改善が実現しました。
ソフトウェアのイノベーションは、AM業界の成長の推進する役割を果たしてきました。しかし、今ではその役割が変化してきています。AMソフトウェアは、Materialise CEOのBrigitte de Vet(ブリギータ・デ・ヴェット)が言うように、「コラボレーションの推進力」と呼べる役割を果たしています。同じ志を持つ企業がソフトウェアを活用して、自らの目標を達成し、AMをより広い製造業界で注目される存在へと押し上げています。その最前線を担っているのが、Magics Nester(3D自動配置)モジュールと新製品Magics SDK(ソフトウェア開発キット)です。
Magics: AMの分野で「スイスアーミーナイフ」のような役割を果たす
「当社の注文システムから出力されたパーツは、Magicsにインポートされ、適切な向きに配置されます。私たちはそれを見るだけで、次のステップに進めます。また、Magics SDK(ソフトウェア開発キット)を使用することで、プロセスはさらに効率的になりました。
Magics SDK(ソフトウェア開発キット) を統合することで、パーツ配置とデータのインポートの80~90%を自動化できるようになりました。データが適切でない場合は、評価して修正することもありますが、それは稀です。Magics SDKへの切り替えで、オペレーターの作業時間が週に約7〜8時間削減され、他のタスクに時間を費やせるようになり、効率が向上しました。このツールは即座に効果を実感でき、今後さらに大きな成果をもたらしてくれると確信しています。」と、微笑みながらMichaelは答えます。
Ziggzagg社は2024年1月にMagics SDKの使用を開始し、3Dプリンティングに関する共通の考え方に基づいて、このツールの導入を選びました。直接操作や実践の機会を経て、このモジュールをワークフローに組み込みました。 今では、短期的および長期的に大きな可能性を実感しています。「MaterialiseはAMイノベーションのリーダーであり、私たちZiggzaggとは共通のDIYマインドセットを持っています」とMichaelは述べています。「同じ分野で競争しつつも、非常にオープンな対話を行い、新しいものに挑戦することを楽しんでいます。それぞれが目的に合ったソリューションを使用し、常に改善を続ける姿勢を持っています。
一般的に、多くのソフトウェア企業は非常に成熟したパッケージを提供する傾向にありますが、私たちは最新の技術を活用することを重視し、バグが見つかればすぐに報告する方法をとっています。3Dプリントは急速に変化する環境にあるため柔軟性を持ちながらもスピード感も重要です。このマインドセットが効率的かつ迅速な対応を実現しています。この特徴と考え方はMagics SDKにも反映されており、私たちがパズルのピースを組み合わせるための優れたツールとして機能しています。更に、どんな些細な問題でもすぐに解決できているのは、私たちがMaterialiseの専門チームとスムーズなコミュニケーションを取れる環境にあるからです。」と、Michaelは述べています。
Ziggzagg社は、ますます厳しく競争が激化するAM市場で優位性を持つために、Materialiseのソフトウェアソリューションを活用しています。また、最終的な目標に到達するためには、同じ価値観を持つパートナーとの協力が不可欠であることを理解しています。
迅速さを追求するなら、単独で進み、成長と成功を追求するなら、協力するパートナーと共に進む
Ziggzagg社の目標は、AMに関する全てを提供する総合サービスを提供、また、SeynaeveファミリーやBMTグループ内の他の組織に補完的なサービスを提供する存在であり続けることです。
「3Dプリントの業界では標準化が進み、多くの企業が価格競争に走ろうとしています。しかし、私たちは製造のどの段階においても高品質なサービスを提供することを重視しています。それが私たちの強みであり、AMパーツの製造だけでなく、設計やコンサルティングサービスも提供しています。私たちは、MagicsやNester(3D自動配置)モジュールなどのAMソフトウェアツールに関する豊富な知識と数十年の経験を活かし、お客様の課題を解決するトータルソリューションを提供しています。」
「私たちは、迅速に対応できる、経験豊富な専門家として、さまざまな技術を必要とするお客様にとっての唯一の窓口であると認識されたいと考えています。 Magics はシンプルさを提供し、 Nester(3D自動配置)モジュール はは効率の最大化に貢献しました。また、 Magics SDK(ソフトウェア開発キット) や自動化を製造工程に追加することで、より一貫性のあるエラーのない造形が可能になり、作業負担を軽減しました。私たちはできる限り効率を上げ、自動化を進める必要があります。このソフトウェアソリューションは、重要なパズルのピースとなっています。ソフトウェアの助けを借りてエラーなしで初回から正確な造形を行うほど、私たちはより高いパフォーマンスを発揮し、お客様の期待に応えることができるのです。」とMichaelは語っています。
ソフトウェアのイノベーション、コラボレーション、共通のマインドセットが、AMコラボレーションの推進を加速させ、製造業界全体に3Dプリントの価値を確立する基盤となります。従来の製造技術に並行して、AMは他の技術が不足する部分を補完する不可欠な方法として機能します。
「AMは未来の技術ではなく、他の方法と並行して存在する技術――まさに「頼りになる技術」と言えるものです。私たちは、COVID-19の検査スワブ(検体を採取する際に使用される棒やブラシ)から医療用インソールやブレースまで、多くの素晴らしく重要なプロジェクトにお客様と取り組んできたことを誇りに思っています。当社は新たなステージに進んでいます。私たちはもはやMagics と Nesterモジュールの機能とその存在を意識することなく、それらを業務プロセスの一部として自然に活用しています。
最も素晴らしいのは、私たちを理解してくれる会社があることです。MaterialiseとZiggzaggは、真のAMプレイヤーとして協力し合い、互いを尊重し、同じ考え方を共有しています。AM業界は決して簡単な分野ではありませんが、私たちは共にその未来を築いています。Materialiseがソフトウェアを開発し、私たちが適切なフィードバックを提供することで、両者が協力し合い、この業界の成熟と成長を実現しているのです。」
1 3Dnatives: Nesting in 3D Printing Helps Optimize Space
画像提供: Ziggzagg社
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