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識別、コラボレーションと自動化によりProtolabs社でリピート作業をなくす

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Materialise Magicsソフトウェアを使って部品にラベルを貼る女性の肩越しに見た写真

デジタルマニュファクチャリングでは、特に3Dプリントに関しては、プロセスの自動化と生産のスピードアップの機会が増えてきています。Materialiseは、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)サービスプロバイダーであるProtolabs社と提携し、同社のワークフローにおけるリピート作業を特定、自動化されたソリューションを構築、最終的にインプラントのラベル付けにかかる時間を1回の造形準備作業につき、2時間近く短縮しました。

Protolabsのプロセスを探る

自動化は今トレンドのトピックであり、AIやChatGPTが多くの業界で波及しています。Materialiseでは、ソフトウェアチームがネスティング(パーツ配置)やサポート生成などのタスクを長年にわたって自動化してきました。現在、当社の目標は、 Magics CO-AM Software Platform の両方で利用できる新しいAM Workflow Scriptingツールで、ユーザーの繰り返し行われるタスクのためのカスタムスクリプトを作成することです。

Materialiseと  Protolabs 社は10年以上の協力関係にあります。同社はMagicsやe-Stage for Metalなどのソフトウェアツールを使ってワークフローを効率化することにはとても慣れています。2022年、各チームはProtolabs社の業務におけるリピート作業の時間短縮を支援するソリューションとして、「AM Workflow Scripting」ツールが有望であることに気づきました。Materialiseでは、ソフトウェアの詳細を説明した後、Protolabs社とのディスカバリーセッションを設けました。Protolabs社のプロセスを探り、最初に自動化すべき最適なワークフローを特定しました。

各チームは、受注から出荷までのプロセスを検討し、自動化が有効なステップをいくつか決定しました。 また、金属3Dプリントの製造において、脊髄インプラントのラベリングを自動化するという、テストに最適なタスクもありました。  それは、チームそれぞれの固有スキルを活かせず、モチベーションすら損なわれる単純作業なので、AM Workflow Scripting導入の候補として最適でした。これらの医療用パーツは、3Dプリントよりも冶金の方がコスト効率は良いのですが、デジタルワークフローには、生産性をもう一段向上させるための時間短縮の可能性が残されているのです。

ラベリング:退屈で面倒な作業から、スピーディーでモチベーションの上がる作業へ

このラベリング作業に必要なことは、ビルド内にある各インプラントに10~12桁の識別子を付けることであり、1パーツあたり2~3分かかると言われていました。数十個のパーツの場合、ラベリングにかかる時間は膨大なものになります。

「お客様からは、40、50、60種類の形状の注文があり、それぞれにラベルが必要となります」と、Protolabs社のカスタマープロジェクト&アディティブデザインマネージャーのChristoph Erhardt氏は説明します。「これまで、パーツごとに、古いラベルを削除することでできる穴を塞ぎ、新しい番号を付けてSTLとして保存、造形データ準備を開始する必要がありました。退屈ですが必要な作業で、データ管理者の貴重な時間を犠牲にしていました。」

医療用パーツの製造では、ラベリング作業は省略や手抜きが許される工程ではありません。Protolabs社では、エラーのリスクを減らすために、別のデータ管理者がラベリング作業を見直すことさえありました。このような時間をよりスマートに使えるようになることで、生産性やチームメンバーの満足度を高めることができるはずです。

「チームはやりがいのある面白い作業、本当にモチベーションの上がる業務に時間を使うことができます。」

— Protolabs社 カスタマープロジェクト&アディティブデザインマネージャー Christoph Erhardt氏

開発と検証

自動化ツールのコラボレーションは、チームがこのプロジェクトのゴールを明確にした2週間後に、Materialiseが最初のドラフトを共有することで始まりました。最初のドラフトはすでに機能し、大きな可能性を示していたため、次にProtolabs社はMaterialiseに対し、自社のワークフローに最適なツールにするための具体的な要望を伝えました。そして、3〜4回の作業と2回のテストを経て、最終的なソフトウェアツールが完成したのです。

スクリプトを入手したProtolabs社は、自動化の利点を十分に活かすために、プロセスを再構築する必要がありました。Protolabs社は、パーツの「種類(ファミリー)」を特定することで、これまでの作業方法を見直しました。これは、12~20個のパーツをまとめて、AM Workflow Scriptingが認識し、Protolabs社の規格に沿ったラベルを迅速に貼るという作業で、一回のみ実施すればよいものでした。この作業が完了した時点で、このツールはラベリングの手間を大幅に省くことができるようになりました。

123から132までのラベルが貼られた、同じ形状の複数の部品を製造準備ソフトに並べる
ビルド準備ソフトウェアで同じジオメトリを持つパーツの列。"{Label A}"とラベル付けされている。

スマートラベリングスクリプトでは、ラベルの位置を一度指示するだけで、準備したパーツの複製に自動的にラベルを貼ることができます。

「20個のパーツにラベルを貼る作業は、新しい自動化されたワークフローでは、1人5分ほどで完了します。以前は、2人で1時間半から2時間かかっていました。それは決して楽しい作業ではありませんでした。例えば、金曜日の午後6時まで待って装置を稼働させる必要がなくなりました。また、チームのストレスは減り、やりがいのある面白い業務に時間を使費やせるようになり、モチベーションが上がりました。」とErhardt氏は話します。

ビルド1回あたり約2時間削減するだけで、装置管理の最適化、パーツ配置など、専門知識が必要な作業に時間を割くことができるのです。もちろん、スマートラベリングにより2時間早く装置を稼働させることができれば、チームの作業もより柔軟になります。Erhardt氏は、「より迅速に作業ができるようになりました」と語ります。「より素早い対応ができるようになったため、朝、パーツが欲しいという要望があれば、その日のうちに装置を稼働させることも可能です」とも述べています。

オートメーション:AMの未来

初めてAM Workflow Scriptingプロセスで成功を収めたProtolabs社は、金属3Dプリント製造の他の場面でも、AM Workflow Scriptingによって変化がもたらされるであろうと期待しています。チームはすでに、ステレオリソグラフィー(光造形装置)のサポート生成の約90%を自動化していますが、金属3Dプリントではこの機会がもっと増えると考えています。最初のサポート生成を自動化した後も、パーツをしっかり支えるために、特定のエリアでのサポートを強化する必要があります。将来的には、金属パーツのサポート生成をほぼすべて自動化したいと考えています。

自動化は、似たような形状のパーツが混在する作業では便利なツールですが、今後は1点もののパーツへの活用も注目されています。特に、試作が多い企業にとっては、貴重な資産になるはずです。

「ハードウェアとソフトウェアの自動化は、数量を増やすのに役立ちます」と Erhardt氏は言います。

「現時点では、技術的にはお客様の要望通りの数量を実現できますが、形状によっては、パーツ数が増えると購買担当者が「高すぎる」と判断してしまうことがあります。この価格を下げるには、準備と後処理をもっと自動化する必要があります。より効率的で生産性の高い装置を導入するためには、装置のフローを自動化することも重要です」。

「Materialiseでは、自動化のパワーをAMメーカーに提供し続けています」と、AM Workflow ScriptingのプロダクトマネージャーであるKoen Neutjensは述べています。「このスマートラベリングアプリケーションは、MagicsとCO-AMのユーザー向けに提供されています。今後、お客様とのコラボレーションにより、さらに多くの自動化機能を提供する予定です。」


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