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3Dプリントされた非侵襲のPEEPマスク 人工呼吸器の不足を軽減

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コロナウイルスの影響が急速に拡大し続けており、世界中の病院は患者治療に必要な医療機器を切実に必要としています。 人工呼吸器は、これらの必須アイテムの1つであり、供給不足が深刻です。

私たちが目指す、より良く、より健康な世界のために、この状況下で出来ることはないか。人工呼吸器が不足している医療現場を、私たちの経験と技術でサポートできないか。私たちは、すぐに情報収集を始めました。 現在、多くの関係者が不足している医療機器や医療用品の生産を増やすために尽力していますが、私たちは別の角度からこの問題を検討しました。 医師たちが、患者に呼気終末陽圧(PEEP)を供給するための今とは別の方法を探していたため、彼らと協力して代替策を作ることにしました。


私たちは非侵襲のマスク、フィルター、PEEPバルブなど、3Dプリントで製作する標準的な医療機器をまとめるコネクタを設計し、人工呼吸器を使用せずに酸素を供給し、高陽圧を生み出すソリューションを開発しました。 PEEP換気を調整出来るこのソリューションは、非侵襲的PEEPを表すNIPを備えたMaterialise Passive NIPと呼ばれ、現在、この危機的状況下で、できるだけ早く現場で利用できるように薬事規制プロセスを経ている最中です。 そして、並行して、COVID-19の患者に対するこの新しいソリューションの最適な使用を定義するための臨床試験をサポートしています。

陽圧の供給が患者を助ける

現在、多くの臨床環境で、純粋な酸素マスクは人工呼吸器に切り替えられています。 この開発で提携した呼吸器科医でありfunctional respiratory imaging(FRI)の会社FLUIDDAのディレクターであるWilfried De Backer教授は、次のように述べています。「目的は侵襲的治療を避けることです。 陽圧と酸素を供給するこの新しいソリューションは、患者に大きな負担をかけません。 より侵襲的な治療を回避するとともに、その分人工呼吸器を他の患者に使用できます。」

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Materialise Passive NIPは、現在、薬事の規制プロセスを経ている最中です。

「いつこのマスクを使い始めるのか」という質問に対して、De Backer教授は次のように答えています。「患者の容態が悪化し、さらに酸素の必要性が高まったときだと思います。 酸素を供給するだけの純粋な酸素マスクからこのマスクに切り替えることで、気道にこの陽圧を供給し、肺の液体を押し戻し、酸素をより適切に取り込むことができます。 陽圧を与えることによって患者の容態が安定すれば、より侵襲的なステップを回避することができます。」

「介護者にとってもメリットがあります。マスクはぴったりとフィットしており、更にフィルターが一体になっていることで、漏れがなく、ウイルスを拡散させるリスクを最小限に抑えています」

高速かつ高い信頼性

3Dプリンティングは、製作時間の短縮や設計の自由度の高さがメリットとして挙げられ、このCOVID-19による危機的な状況下で重要な役割を果たす可能性があります。 ローカルで安全かつ責任ある方法で生産を行えることも3Dプリンティングの利点です。 私たちは数十年に及ぶMedTechの広範なノウハウを伴う3D造形の経験と、ISO 13485認定、さらにEUおよび米国の規制に準拠した医療機器の開発における専門知識を有しています。 このマスクを設計する上で、それらは欠かせないものでした。

数日のうちに、私たちのエンジニアは、呼吸器科医師と共にテストし、アイデアから実証へと進むことができました。 さらにその数日後には、健康な人々による検証テストの準備が整いました。

設計の観点から言えば、当社のエンジニアは最も効率的なMaterialise Passive NIPコネクタを設計しました。 エンジニアのJan Van Espenは次のように説明しています。「これは非常にコンパクトなデザインです。 患者に酸素を供給し、単方向の吸入弁を介して追加の周囲空気を取り込むこともできます。 COVIDウイルスによる空中汚染を最小限に抑えるためのフィルターと、患者への陽圧を調整できるPEEPバルブが備えられています。」

別のエンジニア、Ben Bekaertは、セットアップは簡単だと述べています。「組み立てたら、Passive NIPを酸素供給に接続するだけのシンプルなシステムです。」

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3Dプリンティングは、COVID-19による危機的状況下で重要な役割を果たす可能性があります。製作時間の短縮や設計自由度の高さが、その主な特徴です。

さらに、3Dデザインで作成されたソリューションは、別の場所で製造し病院に迅速に持ち込むことができます。 移動と輸送が困難になるにつれて、このことはさらに重要な意味を持つようになります。 この製品で言えば、ベルギーで設計されてはいますが、マテリアライズによって認定された施設、または適切な方法で造形できる医療施設であればその場で印刷が可能です。 また、3Dプリンティングによってより小さな生産が可能であり、病院で利用可能なすべてのタイプのNIVマスクに適合するように設計をカスタマイズできます。

COVID-19の患者の臨床試験

Materialise NIPコネクタとデザインは入手可能です。 私たちは健康な人々での試験を終え、ヨーロッパとアメリカで薬事登録を迅速に進めています。 同時に、これを臨床コミュニティに広く提供できるように、生産を拡大しています。

さらに、並行してPassive NIPがCOVID-19の患者にどのような影響を与えるかを判断する臨床試験を支援しています。 当社の臨床パートナーは、Materialise Passive NIPの最適な使用に関する臨床ガイダンスを提供することを望んでいます。 

De Backer教授は次のように述べています。「新しい3Dプリントコネクタを除いて、マスクのコンポーネントはすでに存在しており、非侵襲的および侵襲的な換気で何年も使用しています。 この試験では、COVID-19の患者に対する影響と、このNIPソリューションを最適に使用するための疾患のステージを特定します。 私たちは、これを早い段階で使用することが重要であると考えています。つまり、下気道の感染症または炎症が始まった時点で、純粋な酸素から、酸素と圧力によるこの複合治療に切り替えます。」

マテリアライズは、多くの病院が緊急のニーズを抱えていることを認識しており、地域の規制に準拠した緊急ソリューションとしてこれを提供するように協力していきます。 また、世界中の患者のアクセスを促進するために、他のパートナーと提携することも可能です。 

世界的なコロナウイルスの影響により人工呼吸器やその他の医療機器の不足に直面している今、コラボレーションはこれまで以上に重要です。 


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