CUSTOMER STORY
Ricoh3D社、CO-AMを通じて産業用アディティブ・マニュファクチャリングにB2Cのような顧客体験を提供

産業用グレードの高品質3Dプリントの注文が、まるでオンラインショッピングのように簡単だったらどうでしょう?Ricoh 3D社では、そのビジョンを実現しつつあります。オンライン注文と即時見積もりを可能にするセルフサービス型のシステムによって、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)のプロセスが加速し、顧客体験が一層向上しました。これにより、社内のエキスパートは、より高度な内容の業務に集中できるようになっています。
AM(アディティブ・マニュファクチャリング)への信頼構築
Ricoh がAM事業を開始したのは2015年。当初はプリントシステムの販売からスタートし、2019年にはフルサービス型のAMソリューションを提供開始しました。現在では、試作から量産まで対応可能な包括的な製造ソリューションに加え、高品質な最終製品の提供まで行う体制を整えています。
競争が激しさを増すAM市場において、 Ricoh 3D 社は単なるプリンターメーカーにとどまらず、戦略的パートナーとしてのポジションを確立する必要があると考えました。従来の製造手法に慣れた顧客の中には、3Dプリンティングに対する誤解や不安を抱くケースも少なくありません。こうした背景から、Ricoh 3Dでは業界全体での教育・知識共有・共創に注力。AMのもつ可能性と価値を、具体的な事例やパートナーシップを通じて伝えていくことで、顧客にその真価を実感してもらうことを目指しています。


CO-AMで進化する生産体制
Ricoh 3Dが「Managed Print」と定義する受託製造ビジネスへの成長をサポートするため、同社が求めたのは、顧客や部品の進捗状況を細かく把握できる、エンドツーエンドのトレーサビリティと高度なインサイトを提供するソリューションでした。その答えが、 Materialise CO-AM ソフトウェアプラットフォーム です。
CO-AMが生産現場や装置のセンサーから収集するリアルタイムのデータを活用し、Ricoh 3D社のチームは自社の技術的専門知識を駆使して、生産のあらゆる工程を最適化。リアルタイムでの意思決定もより的確に行えるようになっています。
「私たちが常に重視してきたのは、付加価値の高い活動です」と、Ricoh 3D社のアディティブ・マニュファクチャリング部門責任者であるMark Dickin氏は述べています。「CO-AMを導入したことで、顧客自身が手間なく注文を管理できる完全なセルフサポート型のプラットフォームを提供できるようになりました。同時に、私たちはパートナー企業と連携しながら、材料・技術・アプリケーションの開発において、さらなるイノベーションを追求する余地も得られています。


最初の好印象を、その先の信頼まで
Ricoh 3D社は、顧客中心の姿勢とパーソナライズされたサービスに誇りを持っています。カイゼン(継続的改善)の理念に基づき、顧客からのフィードバックは常に業務改善の指針となっています。スクロール率やヒートマップ、アンケート結果といった詳細なデータ分析を通じて、Ricoh 3Dは、次なる改善領域として「オンライン注文」の強化を特定しました。
この分野で重要な役割を果たしているのがCO-AMです。特に見積もり関連の指標によって、価格設定モデルの刷新が可能となりました。現在では、顧客の注文インターフェース上で直接利用できる一括価格設定ツールを提供しています。
「CO-AMはオープンなソリューションであり、DigiFabster 社との連携 を通じて、私たちはお客様に洗練された注文プラットフォームを提供することができます。」と、DigiFabster社のカスタマーサクセスマネージャーであるScott Robinson氏は説明しています。「これは、B2Cの購買体験に慣れている方々にとっても親しみやすく、それでいてB2Bの顧客層にアピールするように調整されています。」


このツールは、単に価格を提示するだけでなく、製品の実現可能性についても明確な情報を提供します。お客様は、用途や技術、材料に関する技術的な詳細も確認することができます。
また、即時見積に加え、ソフトウェアが自動的に製造工程へと作業指示を送信し、速やかに生産がスタートします。この点において、今日のスピード感あふれる社会で誰もが期待するEC(eコマース)取引を体現していると言えるでしょう。
もうひとつの利点は、専門家たちがより顧客に価値をもたらす業務、たとえば研究開発の推進や、独自のアルミニウムバインダージェッティング技術のような「Beyond Print (造形技術の枠を超えた)」取り組みをさらに洗練させることに集中できる点です。
コラボレーション:AMの進化を支える礎
CO-AMは、Ricoh 3D社の品質への取り組みをさらに強固なものにし、Materialiseとの関係は単なるソフトウェア開発者と顧客という枠を超えた協力体制へと発展しています。
「Materialiseは、この取り組みを通じて本当に優れたパートナーでした」と、Ricoh 3D社のMark Dickin氏は語ります。「彼らは既製のソリューションを提供するだけでなく、当社のニーズに合わせてCO-AMをカスタマイズするために、密に連携してくれました。ベルギーから当社の英国工場まで実際に足を運ぶなど、熱心な専任チームによるサポートは移行プロセスを円滑かつ効果的に進める上で非常に心強く、仕事を通じた充実感を実感することができました。」
「開発と移行にあてられた期間は非常に限られていましたが、プロジェクトはしっかりと管理されていました。Materialiseのチームも同じようにこのプロジェクトの達成に向けて強い意欲を持って取り組んでくれました。」


この効率的な運用体制により、Ricoh 3D社のチームはあらゆる業界、特に医療・産業・自動車分野での顧客基盤の拡大していくことが可能になります。また、CO-AMのトレーサビリティ機能により、ISO 9001およびISO 13485を含む、Ricoh 3D社の品質管理基準への継続的な準拠が確保されます。
Ricoh 3D社、シニアエンジニア プロジェクトリードのRichard Minifie氏は、次のように語ります。「CO-AMを導入することで、私たちは自社の運用の最適化だけでなく、業界全体の進展に向けた土台を築いています」「Materialiseとの共同開発は、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)の未来に対する私たちのビジョン―よりスマートで効率的、かつ完全に統合された製造ソリューション―の実現を意味しています。」
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