Elizabeth Boorman 10月 14, 2020

MEDICAL

院内3Dラボの開始とスケールアップの方法

世界中に広がるCOVID-19のパンデミックによって、医療施設は患者を助けるために、不可欠な医療機器を入手する今までとは異なる方法を模索し始めています。 一部の施設では、それらの医療機器の不足を補うために、自由に使える便利なツールを使っていました。つまり、医療施設内の3Dプリンティングラボを利用して医療機器の不足を補うという方法を取っていました。

院内の3Dプリンティングサービスは、配送の遅延などがなく迅速に対応することができるため、パンデミック時でも貴重な時間を節約することができます。 しかし、院内ラボには、迅速な対応以外にも多くのメリットがあります。専用の施設を院内に持つことで、3D計画や印刷プロセスを短縮したり、イノベーションのイニシアチブをサポートしたり、病院が負担する全体的なコストを削減するといったような様々なメリット が報告されています。

先日開催された「医療における3Dプリンティング:2020年オンラインコース」では、医療従事者を集めて、3Dプリンティングラボの立ち上げやスケールアップを成功させ、施設に最大限にその価値をもたらす方法が議論されました。

ここにその一部を紹介します。

1. メリットをマッピングする

Great Ormond Street Hospital (GOSH) の頭蓋顎顔面・形成外科医であるJuling Ong博士は、「院内に3Dサービスの導入を検討していたとき、サービスの恩恵を受ける可能性があるすべての人にこの話をすることが重要だと感じました。実際、3D技術は、私が話をしたほとんどすべての人にとって興味深いものであることがわかりました」。彼は続けて、病院関係者を対象に最初の調査を行ったところ、「院内サービスのケースは本当に説得力がありました。 臨床の質、臨床の安全性、サービスのすべてが3D技術から得ることが出来るのです。」

他の登壇者からも似たような話が多く聞かれました。 各医療施設にはそれぞれ独自の仕様がありますが、彼らに共通していたのは、3D計画と3Dプリントを院内に持ち込むことのメリットを探り始めると、それは分野を超えて多くのメリットがあるとわかったということでした。

Ong博士は、以下のような数多くの具体的なメリットを指摘しています。

  • 臨床の質
  • 患者経験価値
  • 臨床的な安全
  • 財政面
  • 臨床サービスの改善
  • 研究
  • イノベーション


これらについて、それぞれにさらに具体的なメリットがあります。 例えば、臨床安全性の下では、解剖学的理解の向上、合併症発生率の低下1、手術オプションの無限のテスト、再手術率の低下、ORでの時間の節約など、追加のサブベネフィットがあると博士は指摘しています。

「このサービスは、人々の革新的なアイディアを、安全で測定可能な信頼性の高い方法を用いて現実に変換するための支援することがすべてです」とOng博士は言います。

2. スタッフの配置を計画する 

University Hospital Basel のDr. Florien Thieringerは、これが最も重要なことであると次のように強調しています。「適切なチーム作りが必要です。つまり、放射線科医やエンジニア、顎顔面外科医だけに焦点をあてるわけではありません。」

イベントの各講演者は、院内3Dサービスのために多くの病院の専門分野が一堂に会することの重要性について語りました。もちろん、放射線科医や放射線技師が中心となって、医用画像データを収集しますが、多くの病院の3Dプリンティングチームは放射線科医だけで構成されているわけではありません。  

実りある3Dサービスには、外科医、生体医工学エンジニア、臨床科学者、プログラマー、研究者、そして、管理者などのメンバーが含まれていることを皆が強調しています。 

 このような3Dラボの学際的なチームでは、コミュニケーションが成功のカギであると言います。 Mimics Viewer は、3Dラボの施設内外の関係者と3D患者モデル、計画、デバイス設計をインタラクティブに閲覧し、フィードバックすることができる、コミュニケーションに最適なプラットフォームです。

quote

プリンティングのこの分野では、強力なネットワークの中で他の人から多くのことを学ぶことによって、迅速に成長することができるので、地域や国内、さらには国際的なネットワークを構築することをお勧めします。
- Dr. Florian Thieringer, University Hospital Basel

Sheffield Teaching HospitalのDr. Peter Metherallは、スタッフの必要スキルとトレーニングに関して、チーム全体のスキル開発のための具体的な分野として、断面解剖学、ITスキル、3D画像処理ソフトウェア、外科手術と処置、3D後処理における品質保証、3Dプリンティング技術などがあげられるとのことです。

多くは仕事をやりながら習得することができますが、Materialiseには、このスキルセットを学ぶのに役立つ多くのリソースやコースが用意されています。当社の ソフトウェアサポートページ には、チュートリアルやウェビナーなどがあります。では、施設に合わせたオプションのオンサイトトレーニングや、3Dプリンティングやシミュレーションソフトウェアの トレーニングやワークショップを実施しています。オンラインでも、アプリケーションエンジニアが様々な質問をサポートできるように待機しています。

Dr. Thieringer は、病院全体の頭蓋顎顔面、脊椎、心臓、肺、その他多くの分野の専門家が社内サービスを利用していると述べています。 このコラボレーションの経験は、彼らの症例だけではなく、結果としてより広い医療分野に貢献することにつながっています。

3. 戦略的な場所の選択

「既存の病院で新しい設備を作り上げるのは、常に課題が付きまといます」とDr. Metherallは言います。 経験者の多くは、臨床医がラボに気軽に立ち寄ることができるように、サービスを一元的に配置することの意義を述べています。また、アメリカの多くの施設では、3Dプリンティング設備を放射線科に設置しています。

Dr. Metherallは、「3Dプリンティングサービスを放射線科に設置していないケースでは、3D作業のための特定のプロトコルの導入を迅速に行うために、強力なリンクを確立することが重要になります。例えば、心臓の右側のコントラストを上げたいので、心臓のセグメンテーションのために心臓CTのプロトコルを少し変更しました。放射線科の中に組み込まれていることで、この変更プロセスはより簡単で迅速に行えました。」

4.  適切な技術の習得

Dr. Metherallは、期待される結果が3Dモデルではなく、サーフェスレンダリングされたモデルやボリュームレンダリングなどの計測やデジタル3D化である場合も多いと言います。一方で、3Dモデルは、「スケール感がわかり、より良い手順を計画するために」有用だと述べています。

プリンタ技術とソフトウェアの選択は、ラインの効率化に影響するため、非常に重要です。Dr. Metherallは、セグメンテーションにはそれなりの時間を要するが、ORでその分の時間を使うよりは費用対効果が高いと言います。 さらに、この作業を半自動化または完全自動化する方法があり、チームがより多くの経験を積めば、この作業にかかる時間を短縮できます。

ITインフラについて、Dr. MetherallはPACSシステムとの接続性が良いこと、そして、放射線科を拠点とする場合には放射線情報システムとの接続性が良いことが重要であると述べています。また、ファイルが大きすぎてPACSシステムに保存できないことが多いため、別のストレージを持つことも重要であり、IT部門と協力して、回復力のあるストレージを使ったバックアップを考える必要がないようにすることを提案しています。Mimicsの最新版 では、病院のPACSシステムと簡単に接続できるモジュールを介して、臨床ワークフローとさらに統合させることができます。そして、このアップデートによって新しいDICOM Encapsulated STL規格を用い関連画像データや3Dプリントオブジェクトの管理がしやすくなりました。

5. 資金の確保 

「私たちにとって最も重要な資金源の一つは、地元の財団、スイスの資金調達機関、EUなどの資金調達機関からの助成金と、病院自体の技術移転助成金です」とDr. Thieringerは述べています。

また、講演者は、サービスを立ち上げるための資金だけでなく、その後の継続のための資金調達についても話をしています。 医療保険で3Dプリントをカバーしているエリアは多くないため、多くの講演者は、ラボが稼働した後に払い戻しを受けるための資金源を探すことの重要性を強調します。 例えば、病院内のシステムを使用して、3Dラボを使用した際の各部門への内部請求を行っている病院もあります。

さらに、多くの病院では、手術前に3Dプランニングとプリントを使用してより多くの計画を立て、それによって削減されたコストを分析することで、このスキームを正当化しています。 病院の経営陣にコスト削減の方法を説明することによって、多くの部署がサービスを利用したいと考えるようになっています。 Materialiseのホワイトペーパー のようなリソースは、病院が社内サービスを立ち上げることで得られる価値を分析するのに役立ちます。

6. 医療機器の規制に従う

「私たちは、患者教育、インフォームドコンセント、手術手順の計画、事前選択、インプラントや骨合成プレートを曲げるための解剖学的モデルから始めました。しかし、後に提携パートナーと協力して、患者に特化したインプラントも製造できるようになり、医療機器の規制に注意することが重要になりました。」とDr. Thieringerは述べています。

Materialise Mimicsは、EUや米国などの複数の市場の医療機器規制に準拠しており、異なるメーカーのプリンタと組み合わせて、診断用の解剖学的モデルを正確に3Dプリントすることができます。※ さらに、Mimicsでは、ユーザーがパーツにラベルを貼ることができ、最新バージョンではさらに高速なラベル付けが可能になりました。これは、3Dモデルをプリンタから取り出した後に簡単に識別できるようにすることで、患者の安全を確保するための臨床ワークフローに不可欠な機能です。

7.サービスの宣伝

「良いことをしてそれを伝える。マーケティングも非常に重要です。3Dラボを始めるときに最初に考えることではないかもしれませんが、発展させていきたい場合には考慮すべきことです」とDr. Thieringerは述べています。

3Dプリントは最先端の技術として捉えられているため、イベント中の議論の中には、院内サービスを活用して病院の評判を高めることをテーマにしたものもありました。3Dサービスを推進することは、病院が主導権を握り、パーソナライゼーション を通じて患者により良い医療を提供するための革新者であることを具体的に示すことにつながります。

Dr. Thieringer はまた、次のように話しています。「例えば、より多くの資金を獲得したいのであれば、自分が何をしているのかを他の人に知ってもらうことが重要です。科学的な出版物も重要だが、地域や全国のテレビ、会議、イベントも重要です。3Dプリンティングを宣伝する必要があります。3Dプリンティングは興味深いテーマであり、関係者は興味を持ち、医療への応用についてもっと知りたいと思っています。自分の仕事で成果を出して、他の人にも知ってもらうことが重要です。」

8. すでに3D技術を利用している人たちとつながる  

院内のつながりが重要なだけでなく、院内の3Dサービスについて院外の人と話し合うことは、重要な学習の機会となります。 

Dr. Thieringerは次のように述べています。「3Dプリンティングの医療分野では、強力なネットワークの助けを借りて、他の人から多くのことを学び、急速に成長することができるので、地域、国内、国際的なネットワークを構築することを本当にお勧めします。」

そのための1つの方法として、「 3D Printing in Medicine: 2020 Digital Courseなどのイベントがあります。 は、今後もこのようなイベントを開催する予定です。次回のイベントに参加し、他の施設がどのように3Dプリンティングを効果的に利用して効率を高め、患者ケアを改善し、チームを超えたコラボレーションを増やしているかを確かめてみてください。

さらに、Materialiseのような3Dプリンティングの専門組織とつながることで、オーダーメイドのアドバイスを得ることができ、3Dプリンティングを利用してその施設特有の価値を高める方法を考察するのに役立ちます。 

※上記は海外での事例です。 

L-101742-01 

Keep an eye out for a future blog in this series that will detail the revolutionary world of 3D planning and 3D printing at point-of-care!

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