Simon Vanooteghem 7月 22, 2020

スペインのバルセロナ近郊のサバデルに位置するサバデル病院(別名Hospital Parc Tauli)は、大学の附属病院であり、研究開発機関としても高く評価されています。様々な医療サービスや専門ユニットを通じた患者ケアを提供するだけでなく、病院は新しい発想から、検証、革新まで導く先駆者であり、現在は800以上の研究プロジェクトを実施しています。

 同病院は2015年に、革新的な使命と卓越した医療に向けた取り組みにとって不可欠となった、3Dラボを立ち上げました。当初は、整形外科手術のために3Dプランニングとプリンティングを活用することを目的として3Dプリンティングを導入しました。しかし、その活用は、すぐにほぼすべての部門にまたがるまでに拡大し、すでに手術や業務の効率化という点で明らかなメリットを生み出しています。

サバデル病院の整形外科医で3DラボコーディネーターのFerran Fillat博士に話を聞き、院内3Dプリンティングが病院にとってどのように重要になったのか、そしてなぜ彼がMaterialiseとのパートナーシップが重要だと考えているかを探りました。

院内3Dプリンティングを立ち上げた最初のきっかけは何だったのでしょうか?

成功実績があったからです。私たちが最初に3Dプリントの利点に注目し始めたのは2014年のことで、最初は、特定の整形外科手術の計画をサポートするために、外部のサービスプロバイダーを通じて、解剖学的モデルをプリントしていました。これは非常にうまく機能しており、このコンセプトは、はるかに幅広い用途に大きな可能性を秘めていることがわかりました。そこで、カタルーニャ整形外科学会からの助成金を申請し、最初の3Dプリンターを購入しました。私たちの3Dラボの誕生です。
 
そのプリンターを使ってトレーニング行いました。また、最初はフリーソフトのツールを使って実験し、セグメンテーションとデザインのスキルを開発し始めました。これがどれほど有用であるかを理解し、様々なアプリケーションを導入し始めるまでには、それほど時間はかかりませんでした。

現在のラボの可能性をどう考えていますか?

 初年度は15件のケースをサポートしました。翌年には、その数は2倍になりました。昨年から Materialiseの MimicsinPrint ソフトウェアソリューションとの連携を開始し、現在では100件以上のケースをサポートしています。適切なソフトウェアを導入したことで、私たちの能力と成長に大きな違いが生まれました。

私たちは、使用するソフトウェアがCEマークを取得したソフトウェアであり、医療用途に適しているという前提で、術前の手術計画を作成し、自信を持って独自のデザインを作成することができます。解剖学的モデルを現場でプリントし、パーソナライズされた手術ガイド(特定の医療機器製造ライセンスが必要)のファイルを外部の印刷パートナーに送っています。

主に整形外科の症例に焦点を当てているのですか?

私は整形外科医です。ラボが始まった当初は整形外科の症例に重点を置いていたので、私たちは、この分野での強い専門性を持っていると思います。肩甲骨、肘、橈骨遠位部、肩、膝の手術から脊椎手術、骨切り術に至るまでの手術ガイドを作成する専門家になれたと言えると思います。
 
しかしながら、この1年の間に、私たちは本当にオープンになり、今では病院全体の多くの部門と協力しています。例えば、血管外科、小児科、肝臓外科、顎顔面外科、循環器科などです。病院全体が私たちが3Dラボで何をしているかを知っていて、私たちと一緒に仕事をしたいと思ってくれています。

そのようにラボの応用範囲を広げていく上での鍵となったことはなんでしょうか?

普通、院内3Dプリントについて最初に考えるとき、自動的に実際のプリンターが最も重要なものになると考えると思います。ある程度はそうです。現在、私たちが現場で使用しているプリンターは、ガイドのプロトタイプや独自の解剖学的モデルをプリントすることができますが、どちらも私たちの仕事には欠かせないものです。
 
しかしながら、3Dプランニング機能や特定のデバイス設計ツールだけではなく、正しい経路を確立するのに役立っているのはソフトウェアです。その意味では、ソフトウェアは他のすべてのものを構築するための重要な基盤となっています。適切なソフトウェアがあれば、外科医や他部署、そしてもちろん外部の印刷パートナーとの効率的なワークフローに3Dプランニングとプリンティングを組み込むことができます。
 
院内3D施設を成功させるためには、外科医がその可能性とプロセスを理解する必要があり、最も重要なことは、生体力学エンジニアと簡単に、迅速に、そして協力的に作業できることです。それを可能にするのはプリンターではなく、人とソフトウェアなのです。

セバデル病院の3Dプリントチームは、最初は整形外科用に院内3D プリントを活用していましたが、その活用はすぐにほぼすべての部署に拡大しました。 Photo credit: Hospital de Sabadell

症例やプロジェクトの開始方法に標準的なプロセスはありますか?

整形外科手術の計画とガイドの申請については、私たちは症例に非常に重点を置いています。外科医が私たちに見てもらいたい症例を持っている場合には、正式な申請書を提出してもらい、私たちが審査をします。 
 
当施設は院内にあるため、関連するすべての医用画像ファイルなどにアクセスすることができ、Mimicsを使用して、スキャンやX線写真を非常に迅速に計画案やガイドデザインに変換することができます。Mimics Viewerを介して、これを担当の外科医と共有し、レビューと修正を行うことができます。Mimics inPrintを使用して、プロトタイプガイドの適合性を評価するために解剖学的モデルを印刷することもできます。最後に、承認されたファイルを認証された製造メーカーに送ります。
 
しかし、当施設のプロジェクトの多くは、博士論文としてスタートします。これらのプロジェクトについては、研究機関や倫理委員会と密接に連携して、実行可能性や資金調達の可能性を検討します。

3Dソフトウェアと印刷ソリューションは、どのようなメリットをもたらしていますか?

手術前の計画や手術ガイドでは、最大のメリットは信頼です。当施設の3Dソリューションが提供する事前の洞察により、外科医とそのチームは、各手術をどのように計画するかが実際の現場の経験を反映したものになるという確信を得ることができます。患者の特定の解剖学的構造に基づいて最高の結果が得られるように最適化されたプランニングが行われるため、プランニングが現実に近づきます。
 
手術が意図したとおりに行われていることを証明できるということは、大きな前進です。
 
 もちろん、患者への長期的なメリットを評価するためには、もっと時間が必要です。例えば、肩関節形成術のような領域において、“3Dプランニングあり” vs “3D計画プランニングなし”について議論するには、約5年分のフォローアップデータを蓄積する必要があるでしょう。しかしながら、今言えることは、我々外科医の誰もが今、3Dプリントされたガイドなしではこの手順を実行したいと思っていないということです。  

「なぜなら、患者の特定の解剖に基づいて最高の結果が得られるように最適された計画を立てることが出来るからです」

時間やリソースの効率性という点で、他に何か違いをもたらしましたか?  

はい、間違いなく時間を節約できています。実際、3Dソフトウェアと印刷技術のおかげで、肩甲骨手術などの整形外科手術の時間を最大50%短縮することができました。
 
私たちは、私たちのやり方について多くを学べたおかげで、今では特にMaterialiseのソフトウェアMimicsのおかげで、3Dラボでのプロセスを最適化している段階にあります。以前は、肩甲骨ガイドの開発に1週間ほどかかっていましたが、今では、外科医の承認/修正のための明確なデザインを10分以内に作成できるようになりました。
 
のソフトウェアは、私たちの蓄積された経験と相まって、計画とガイド開発の自動化を可能にしてくれています。  

「私たちは間違えなく時間を節約しています。実際、3Dソフトウェアと印刷技術により、舟状骨手術などの整形外科手術の時間を最大50%短縮することができました。」

なぜ自動化がそれほど重要なのでしょうか、そしてソフトウェアはそのためにどう役立つのでしょうか?

 症例数を増やすことは、すでに述べた利点を最適化し、3Dソリューションの臨床的・運用的価値を実証するために不可欠です。私たちは4人チームなので、私たちが行うことを効率的かつ拡張性のあるものにすることが重要です。自動化による最適化は、それを実現するために重要です。  

のカスタマイズ可能なスクリプトモジュールは、より多くの患者データをより迅速に分析し、ワークフローを自動化することで、時間のかかる反復的なステップを排除し、一貫性を向上させることができるため、効率化のための基本的な機能となっています。3Dの術前プランニングは、個々の患者に合わせてソリューションをカスタマイズすることがすべてですが、そのための最良の方法は、テーラーリングアプローチの一貫性を達成することです。これは、より早いペースでアプリケーションの範囲を拡大するために非常に重要です。  
 
 時間が短縮された結果、術前の計画や装置設計を自信を持って短時間で作成することができます。時間を短縮できるということは、より多くのキャパシティと、より多くの症例に取り組むことができることを意味します。  

最後に、3Dラボの次の目標を何ですか?

私たちの究極の目標は、すべての患者が術前3Dプランニングと手術ガイドの恩恵を受けることができるようになることです。先ほど、ソフトウェア主導の自動化とスケーラビリティの重要性について話したことは、このために不可欠です。私たちの野心を達成するために重要な2番目のことは、臨床とプロセスの品質管理に焦点を当てることです。  
 
私たちはすでに、医療機器の印刷ライセンスを取得して、手術ガイドを現場で作成できるようにしています。これは医療機器を売りたいということではありません。私たちにとっては、自分たちのやっていることがうまく伝わっているかどうかを確認したいだけです。私たちが開発・実施しているプロセスは、最高レベルの品質管理がなされていることを知っているからです。Mimics Innovation SuiteとinPrintを使用することは、医療用に適したCEマークのついたソフトウェアを使用することです。また院内には適切な専門知識があるので、この目標を達成し、当施設の業務の品質を実証するために必要なISO認証に合格するための理想的なセットアップが整っていると確信しています。  
 
医療用3Dプリントでは、外注すべきこともあります。しかし、3D手術プランニングは、設計からプリントまで、完全に現場で行うべきものだと考えています。毎日の病院生活に組み込むことが出来れば、提供されるメリットはさらに大きなものになります。Materialiseとともに、セバデル病院はこれを実現するための正しいステップを踏んでいます。  

Dr. Ferran Fillat (左から3番目)とセバデル病院の3Dプリンティングチームは、3D手術プランニングは、設計から印刷まで、完全に現場で行うべきものだと考えています。Photo credit: Hospital de Sabadell

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※上記は海外における3Dプリンティングの活用事例です. 
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