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Maggie Shelter (マギー・シェルター): サステナビリティ、ソーシャル・ジャスティス、そして3Dプリンティングの出会いによって生み出されたもの

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戦争や迫害、自然災害から逃れるために、人々が家を離れることを余儀なくされる、誰もがそんな光景をニュースで見たことがあるのではないでしょうか。 そのような状況では、家族は取るものも取らず安全な場所を求めて逃げ出します。そして、ようやく見つけた避難所では、最低限のインフラしかなく、それでも生活を再開するための方法を見つけなければなりません。多くの人にとって異世界のことのように聞こえるかもしれません。しかし、世界では約6,000万人の人々がこのような状況に置かれています。

そこで DMOA の建築家チームは、「マギー・シェルター」を作り、「マギー・プログラム」という非営利団体を立ち上げるというイノベーションを起こしました。 これらの取り組みは、強制的に家を追われた人たちを支援するものです。 彼らの支援により、このような環境下でも、適切な教育、医療、温度調節された倉庫、コミュニティセンターへのアクセスが、もはや夢ではなく現実のものとなっています。

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マギー・シェルターは、学校、保健所、寮などとして利用されています。 Credit: Samuel Otieno Odhiambo - UNHCR Kenya


マギー・シェルターは、仮設建築物しか許可されない地域で、恒久的な建物の利点を提供するために設計されました。DMOAのCEO兼創設者であり、マギー・プログラムvzwのBenjamin Denefによれば、このシェルターの特徴はそこにあるといいます。「マギー・シェルターは、テントのような外観でありながら、本物の固定式建物の利点を備えた構造物です。二重壁の構造体に、砂や断熱材、さらにはプラスチック廃棄物などの地元の材料を現地で充填し、地域コミュニティの協力を得て、少なくとも15年はもつ、持続可能で循環型のエコロジーなインフラを作り上げるのです。」実際、このプロジェクトは、緊急時に長期的な支援を行い、快適さや教育へのアクセスなどを提供する、画期的なものなのです。

このようなプロジェクトの開発中、マギー・プログラムチームはさまざまな壁にぶつかったことはご想像のとおりです。彼らは、異なる気候に適応しやすく、組み立てが簡単で、輸送コストがかからず、長期的に持続可能なシェルターを設計する必要がありました。また、さまざまな用途に使われるため、シェルターはさまざまなレイアウトに変形でき、必要に応じて現地の材料と互換性を持たせなければなりませんでした

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マギー・シェルターは、恒久的な建造物の代わりに長期的な宿泊施設を提供します。

ここでは、Materialiseが解決のために支援した課題、つまり、シェルターの断熱に最適な構造をサポートする3Dプリントパーツの作成に焦点を当てましょう。気温が-15℃まで下がり、逆に45℃まで上がることもある極端な気候の中で、快適なテントを作るのは大変なことでした。理想的な断熱材を作るために、マギーチームは巧みに二重の布の壁を重ねることにしました。

そして、この設計を成功させるためには、生地を傷めず、かつテントを十分に支えるコネクタが必要でした。「手作業で金属を曲げるなど、いろいろと試しましたが、うまくいくものはなく、値段も手頃ではありませんでした。調べて見ると、3Dプリントが、生地を傷めず、テントを簡単に設置できるコネクタを設計する唯一の方法であることがわかりました。私は部品を自分で設計し、Materialiseがマギー・シェルターに必要な64個のコネクタをプリントしました」と、Benjaminは振り返ります。

Bluesint PA12でソーシャルプロジェクトに力を与える

マギー・プログラムは、Materialiseが掲げるすべてのものと合致しています。私たちのプロジェクトの多くは、サステナビリティのための選択肢を増やすことに専念していますが、サステナビリティとは、単に材料の調達や製造だけではないと信じています。それは、環境や社会的な不公正がまかり通っている場所で行動を起こすことでもあるのです。有意義なインパクトを与えるには、そうした不公平が単なる不幸な結果ではなく、これまでとは違うやり方をする理由であると理解する必要があります。

Materialiseが持続可能な発展に貢献するのは、3Dプリンターが地球に与える影響を軽減するために、私たちの人材や製品の力を活用することだけではありません。私たちは、より良い未来を必要としている人たちに、それ以上のものを提供する組織とのパートナーシップにも力を入れています。だからこそ、マギー・プログラムからのパートナーシップの提案を受けたとき、この素晴らしい取り組みの一端を担うことができ、これほど嬉しいことはありませんでした。

Materialiseの会長であるピーター・レイズは、このパートナーシップは、Materialiseの技術と専門知識によってより良い未来を形作るというコミットメントを示すものであると説明しています。「彼らが技術的な課題に対して助けを求めてきたとき、我々はすぐにイエスと答えました。Materialiseは、最近発売した全く新しい持続可能な素材であるBlusint PA12を使って、彼らが必要とするコネクタを迅速、確実、かつ持続可能な方法で製造しました。」

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持続可能な方法で3Dプリントされた、マギー・シェルターで使用されたコネクタ

ギー・プログラムチームは、Bluesint PA 12のベータテスターの一員として参加しました。この技術により、通常であれば無駄になるレーザー焼結の粉が、新しい部品を作るために第二の人生を歩むことができます。実際のところはどうなのでしょうか。64個のパーツの印刷に、リサイクルされていない粉を使う代わりにBluesint PA12を使うことで、マギー・プログラムはマギー・シェルター1個あたり48kgのCO2排出を削減したことになります。これは、4本の木が1年間に吸収できるCO2の量と同じです。

手作業で金属を曲げるなど、いろいろと試しましたが、うまくいくものはなく、値段も手頃ではありませんでした。3Dプリントは、生地を傷めず、テントを簡単に設置できるコネクタを設計する唯一の方法であることがわかりました。

— Benjamin Denef, CEO/Founder of Maggie Program

「3Dプリンターは、私たちのシェルターを迅速かつコスト効率よく設置するための完璧なソリューションです。そして、私たちがMaterialiseをパートナーとして選んだのは、3Dプリント技術をサステナブルな方法で使用しているからです。私たちにとって、二酸化炭素排出量を削減するための新しい方法に常に取り組んでいる企業と協力することは重要です。ですから、この持続可能な材料の選択肢は、私たちのミッションによく合致しています」とBenjaminは述べています。

最終的には、限界を押し広げ、地球への接し方を改善するための革新が、私たちのすべての行動のバックボーンとなっています。マギー・プログラムのようなイニシアチブをサポートすることは、世界をより良く、より健康的な場所にするための私たちの旅のもう一つのステップなのです。

Materialiseとマギーチームがどのようにコラボレーションし、マギー・シェルターの建設を簡素化したかは、以下のビデオでご覧いただけます。私たちは、ベルギーで2年間、仮設教室として使用される2つのシェルターの建設中に、Benjamin Denef氏に話を聞きました。この後、マギー・シェルターは難民キャンプに移設されますが、その費用はベルギーの学校が支払うレンタル料でほぼ賄われるため、費用はほとんどかかりません。

マテリアライズでは、「マギー・プログラム」を支援しています。


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