
インタビュー
Mimics Innovation Awards 2024 ファイナリスト: Nick Kampkuiper
シミュレーションされた透視画像を活用した患者個別の3D仮想手術計画による仙腸関節固定術の改善 (Patient-Specific 3D Virtual Surgical Planning Using Simulated Fluoroscopic Images to Improve Sacroiliac Joint Fusion)
あなたの夢は何ですか?
私たちの夢は当時も今も変わらず、3D技術を活用して仙腸関節固定術(SIJF)を改善し、重度の骨盤不安定症に苦しむ患者の治療をより良いものにすることです。この治療では、関節の動きを制限することで痛みを軽減し、3つの三角形のインプラントを挿入して関節を安定させることを目的としています。私たちの目標は、これらのインプラントをより正確かつ簡単に配置できるようにすることで、合併症のリスクを低減し、手術の安全性と効果を向上させることでした。さらに、コスト効率の良い方法でこれを実現し、技術が広く利用可能であり続けることにも取り組みました。
どのような課題がありましたか?
仙腸関節固定術(SIJF)は、通常、X線を用いて骨の状態を可視化する2D透視画像をガイドとして行われます。しかし、解剖学的な個体差や術中画像の視認性の低さ、さらには3D空間情報の欠如により、神経構造を損傷せずにインプラントを正確に配置することが難しい場合があります。このため、この手術は技術的に難しく、リスクを伴うことがあります。
一部の高度なナビゲーションシステムは支援が可能ですが、高額であることや普及率の低さ、さらに手術時間が延びる可能性があるなどの課題があります。
そこで、私たちはSIJFのための「仮想手術計画(Virtual Surgical Planning, VSP)」という方法を開発しました。この方法では、CTスキャンから骨盤の3Dモデルを作成し、インプラントを仮想的に配置します。VSPを用いることで、解剖学的構造をより深く理解し、重要な構造を避けながら最適なインプラント配置を計画することが可能になります。
それでもなお、3Dで計画したインプラントの位置を2Dの術中透視画像に正確に反映させることは課題として残っていました。この課題を解決するために、私たちはMaterialise Mimicsのフルオロスコピーモジュールを活用しました。このモジュールは、仮想的に配置されたインプラントを含む骨盤のシミュレーション透視画像を生成できます。手術中に外科医はこれらのシミュレーション画像を参照することで、手術計画をより正確に再現することが可能になります。
結果はどうだったのでしょうか?
私たちは、仙腸関節固定術(SIJF)における仮想手術計画(VSP)を活用したインプラント配置の精度を評価しました。同じ外科医が10名の女性患者に対して手術を行い、合計で30本のインプラントを配置しました。患者の年齢の中央値は39歳でした。
インプラントの全体的な平均配置精度は、位置誤差が4.9 ± 1.26 mm、角度誤差が4.0 ± 1.44°でした。重要な点として、インプラントの誤配置に起因する合併症は一切発生しませんでした。VSPは解剖学的構造への理解を深め、インプラントの最適な位置と長さを決定する上で貴重な知見を提供しました。計画されたインプラントの位置は手術中に正確に再現され、現在では臨床的に許容可能な精度レベルに達したと考えられます。
この研究がファイナリストに選ばれたのはなぜだと思いますか?
重要な解剖学的構造の近くで行う低侵襲手術では、高い精度を求めることが依然として難しい課題です。そのため、手術ガイドやナビゲーション、ロボティクスなど、さまざまな支援技術が手術の安全性向上に役立てられています。本論文では、この課題を仙腸関節固定術に焦点を当てて取り上げています。Mimicsソフトウェアを活用し、仮想計画と術中の画像シミュレーションを組み合わせることで、インプラントを高い精度で配置する比較的簡単な方法を提示しました。この論文が、医療従事者に仮想手術計画の採用を促し、研究者に他の臨床手技でも同様のシミュレーションアプローチを探求するきっかけとなることを期待しています。
L-104669-01
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