Materialise Mimics Innovation Suiteは、個々の患者に対する仮想適合分析を通して、心臓移植までの橋渡しとして人工心臓を利用できる患者数の増加に貢献しています。機械的循環補助(MCS)は、1980年代後半から、小児患者の心臓移植までの橋渡し用に利用されてきました。その一方、小児患者への完全人工心臓(TAH)と補助人工心臓(VAD)の適用は、解剖学的な適合性に関する推奨基準が厳格であることから、現在でも実施件数が限られています。フェニックス小児病院では、Materialise Mimics Innovation Suiteを使って、推奨基準外の患者の中から、SynCardia一時完全人工心臓(TAH-t)で治療可能な患者を選び出すスクリーニング手法を開発しました。

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移植されたTAH-tを含む患者の胸部の再現モデル

心臓移植を待つ患者

フェニックス小児病院では、両心室不全と心室性不整脈を併発する14歳の拡張型心筋症の患者を受け入れました。移植する心臓が提供されるまでの間、患者は提供待ちリストに登録され、一時完全人工心臓の適用が検討されました。

通常、TAH-tが患者の体に適合して機能するための最低推奨基準としては、体表面積が1.7m2以上で、T10レベルにおける胸骨と脊椎の間の前後方向の距離が10cm以上あることが求められます。この患者は、70ccのSynCardia TAH-tの推奨適用基準を満たしていませんでしたが、臨床チームは、術前CTスキャンデータの分析結果に基づいて、TAH-t移植が必要で、なおかつ実施可能であると判断することができました。

 

SynCardia TAH-t の移植

手術は、胸骨切開のうえ、全心室と4つの心臓弁のすべてを切除し、TAH-tを移植して無事成功しました。移植後は、合併症が発生しました。術後の胸部レントゲン写真で左肺に影が見られ、胸腔の造影CTによって確認されました。TAH-tが肺血管系や気管支の機能を阻害していないか分析するため、Mimicsを使って3Dモデルが作成されました。心臓血管、呼吸器系、骨格系の構造が、それぞれ3Dモデル内でセグメンテーション処理されました。また、TAH-tデバイス内の血液に相当する部分(CTスキャンで見える唯一の部分)もセグメント化されました。TAH-tについては、レーザースキャナーでスキャンして完全なモデルを作成し、サーフェスメッシュをMimicsに読み込んでデバイス内の血液部分と位置合わせをしました。これにより、TAH-tがサイズ的にも位置的にも主要な心臓血管や呼吸器系の組織を圧迫していないことが確認されました。

事例提供: David Frakes氏(アリゾナ州立大学、米国アリゾナ州フェニックス)

 

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適合性分析のためTAH-t移植の仮想モデルを作成

仮想適合性分析におけるMaterialise Mimics Innovation Suiteの役割

胸部CTスキャンから再現された3Dモデルは、肺動脈、肺静脈、気管支を可視化してTAH-tによる圧迫がないことを確認するのに重要な役割を果たしました。これにより、仮想モデルが患者の急性合併症の根本原因の分析に役立つことが示されました。また、この事例を通して、術前CTデータに基づくMimics内の仮想モデルが、移植するデバイスの適合性の予測に役立つという結論も得られました。この移植前適合性分析は、一般的な適合性の判定基準から外れる小児患者に対して、すでに複数例が実施されています。これらは、CTスキャンと、仮想空間内でのデバイス適合性分析のための3Dモデリングによって実現しました。

Mimics Innovation Suiteは、仮想適合性分析のプロセスの簡素化に役立ちました。治療チームは、まず、術前CTスキャンから患者の体内の3次元再現モデルを作成します。次に、SynCardia TAH-t(またはTAH/VADデバイス)のレーザースキャンをMimics内に読み込んで、切除する臓器の位置に位置合わせします。その状態でいくつかの測定と臨床評価を実施して、完全人工心臓が胸腔内に適合するかどうかを判定します。

このプロセスは、治療の選択肢が少ない小児患者のグループに対して、新たな可能性を開きます。フェニックス小児病院のD.

 

David Frakes氏(米国アリゾナ州、アリゾナ州立大学)

   Bradford Sanders主任潅流技師は、「胸部CATスキャン画像とMimicsの組み合わせは、SynCardia完全人工心臓が小児患者の胸に実際に移植できるかどうかを判定するのに役立つ」と述べています。

Mimics Innovation Suiteを選ぶ理由

  • 個別の患者のTAHおよびVADの適合性分析に適している
  • TAHおよびVADデバイスの非ネイティブモデルを使用しながら患者データを再構築できる
  • 異なるモデルやサイズのVADを効率的に比較検討できる
  • MCSデバイスによって生じる可能性のある組織の位置ずれを数値化する豊富な測定ツールを搭載している

規制情報:

文中で言及されているソフトウェアは 2014 年11 月「画像診断装置Mimics Innovation Suite」(認証番号:226AFBZI00159000)として医療機器の認証を取得し販売しております。

 

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