片側顔面萎縮症は、一般的に顔の半分の発育に影響する先天性疾患で、頭蓋骨と顔面に関する先天性欠陥の中で2番目に多く見られるものです。European Face CentreのMommaerts教授は、この病気に苦しむ1人のベルギー人少女の治療に早期の段階から関わってきました。数回の修正手術を経てきたこの患者に対して、マテリアライズのProPlan CMFおよび3-maticソフトウェアを使って、複雑な下顎角(エラ)再建手術が計画されました。

あらかじめ準備された矯正手術の実施歴

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片側顔面萎縮症は、第一鰓弓と第二鰓弓に由来する組織の発達に異常が起きることを特徴としています。これにより、眼窩や下顎骨、耳、顔面神経、ならびにこれらに重なる組織が片側だけ発育不良を呈し、左右非対称になります。症状の度合いは、軽度から重度まで多岐にわたります。この患者の場合は、右の耳もありませんでした。患者は4歳のときに、10年後に顔の角度矯正手術を実施するための準備として、連結部として機能する関節を形成する目的で肋軟骨移植を受けました。医師たちは、頭蓋冠移植片を使って頬骨弓を再建し、窩部の位置を反対側の関節の位置に合わせました。この処置は多少の成長を促す場合もありますが、いずれにせよ、第二成長期の終わりには顔の角度の矯正手術が必要になります。そして患者が15歳のときに、下顎と上顎ならびに軟組織を含む顔面の組織複合体に対して、角度を修正して前方に移動させる手術が実施されました。

ProPlan CMF®と3-matic®による下顎角(エラ)再建手術の プランニング

一方、下顎角(エラ)の欠損は、骨格の手術で対処できるものではありませんでした。そこで治療チームは、CAD-CAMによるカスタムインプラントか、ハイドロキシアパタイトとフィブリン接着剤の組み合わせ、あるいはシリコンまたはポリエチレン製のオンレイ式インプラントによって下顎角を再建しようと考え、検討を開始しました。下顎角は体の後方に向けて補わなければならない部分が大きく、ハイドロキシアパタイトとフィブリン接着剤では再建不可能でした。ポリエチレンは感染性合併症の発症と、翼状突起と咬筋をつなぐスリングの解離のリスクがあります。 治療チームは、最初にマテリアライズのProPlan CMFソフトウェアを使ってCTスキャンデータから頭蓋骨の3Dモデルを作成し、セグメンテーション・ウィザードでセグメンテーション処理を実行しました。次に、頭蓋骨の3DのSTLファイルをマテリアライズの3-maticソフトウェア用にエクスポートしました。欠損の程度について素早く理解を深めるため、チームは健康な側の形状のミラー・コピーを反対側に重ね合わせ、後にインプラント設計のベースにしました。健康な側が非対称的に成長していたことから、中立面を特定するのは容易ではありませんでしたが、同ソフトウェアのグローバル・レジストレーション(位置合わせ)機能を使い、頭蓋骨の健康な側とそのミラー・コピーのにより最善のオーバーラップ位置が特定されました。そしてミラー・コピーと元の形状は、ブーリアン結合機能で1つのオブジェクトにマージされました。その後は、ミラー形状と元の頭蓋骨の間のギャップがプッシュアンドプル機能で埋められ、ラッピング処理が実施されました。また、インプラントの形状設計に進むために、トリミング処理が実施されました。

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1 肋軟骨移植前の患者

2 3-maticを利用して健全な側の顎骨の「ミラーリング」

 

「このソフトウェアは、顔の再建と形成においてついて、無限の可能性を提供してくれます。このようなソフトウェアは、今までありませんでした。審美的に好ましい結果を得るためには、手術の結果を予測できることが非常に重要です」
Lauri Wauters MSc(European Face Center)European Face Centre

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適切に適合するインプラント手術のプランニング

3Dで術前計画を策定する場合でも、潜在的なリスクを特定するために、手術に関する知見を深めておくことには重要な意味があります。この患者の場合、痕跡化した繊維組織の伸縮性が無傷の軟組織と比べて低く、体積の大きなインプラントを挿入するのは非常に困難な状態でした。インプラントの体積を減らせば、ミラー・コピーを使って確保した対称性が失われることになります。またそれ以上に、患者の顔面神経が大きく変形している点も、大きな問題でした。これらの課題を克服するため、チームは3-maticのトリミングとローカルスムージング機能を使い、インプラントに丸みを付けて下顎枝の部分の体積をわずかに削りました。また、バーチャル上でインプラントを頭蓋骨に適合させ、下歯槽神経の位置に配慮しながら、固定用のネジ穴の位置を決定しました。 こうして、移植位置が明確で手術時間の短縮につながるインプラントの設計が完了し、そのSTLファイルが3Dプリンター用にエクスポートされました。インプラントは、移植可能なチタン合金材料を使い、3Dプリンターで製作されました。固定用ネジの位置が事前に決められていたため、手術中に神経を傷つけることはありませんでした。 この手術により、骨の欠損部分は再建されました。現在16歳の患者は、今後、耳の再建手術と軟組織の微調整(小口症の修正と側頭部脂肪体へのマイクロリポフィリング)を実施する必要がありますが、これまで経験してきた再建手術の長い道のりも着実に終わりに近づいています。

 

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3 3-maticによる最終的な術前計画

4a, b

4a 矯正手術後の患者 4b 下顎角再建手術後の患者

規制情報:

文中で言及されているソフトウェアは 2014 年11 月「画像診断装置Mimics Innovation Suite」(認証番号:226AFBZI00159000)として医療機器の認証を取得し販売しております。

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