1 腹部大動脈瘤の3Dメッシュモデル

心臓病は、最も多い早死の原因であり、米国では年間約90万人の命を奪っています。その中でも、動脈瘤破裂による死亡は多くの割合を占めています。そこで、動脈瘤破裂のリスクの程度を示し、手術に関する決定を支援するために、有限要素法解析破裂インデックス-Finite Element Analysis Rupture Index (FEARI) -という新たな指標値が開発されています。動脈瘤の外科的治療では、合併症を防止するため、使用する医療器具のサイズを適切に選定することが非常に重要です。本研究では、FEARIの有効性を検証するとともに、Mimics Innovation Suite で作成した 3D再現モデルが手術の事前検証に役立つツールとして利用できることが示されました。

 

Mimics® を使って CTデータから素早く3次元データを再構築

この研究の為に、腹部大動脈瘤の患者10名のCTデータが収集されました。収集したCTデータはMimicsにインポートされ、簡単な手順によって3次元データが再構築されました。初めに、スレショルド処理機能を使って、関心領域を設定しました。次に、特定の形状領域に異なる色を割り当てながら、それらの領域をセグメンテーションしました。セグメンテーションが完了すると、最後に、素早く簡単な操作で3Dモデルが作成されました。

大動脈の場合、微小な詳細形状を省略した基本モデルの再構築にかかった時間は最短で2分、腔内血栓や表面の凹みといった詳細をすべて含めた場合でも1時間程度でした。CTスキャンは手術まで時間的余裕のある状態で行われ、3次元データを素早く再構築できたため、医師は患者の健康状態が悪化する前に、3次元再構築データを十分に調べることができました。

 

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2 FEAで計算した壁応力の分布

3次元再構築モデルを使用したFEARIの計算

FEARIの定義には、材料にかかる応力が材料の強度を超えると破壊が起きるという、簡素な理論に基づく方程式が使われています。FEARIの値は、壁応力の実験測定値に対する有限要素解析(FEA)による計算値の比率がシミュレーションされます。そのため、値は0から1までの範囲に入り、0の場合には破裂のリスクが小さく、1に近づくほど破裂のリスクが高まります。壁応力の実験測定値は以前の研究で得られていましたが、FEAに基づく壁応力の値は、Mimicsで再構築した10名分の3次元再構築モデルを使って求められました。3DモデルはFEAプログラムにインポートされ、応力解析が実施され、その結果を使ってFEARIの値が計算されました。この研究で得られた値を分析した結果、FEARIは、現行の手順と併用することで、手術に関する決定に役立てられる有用なツールであると結論付けられました。

 

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3 腹部大動脈瘤の手術後の3Dモデル

手術計画と結果が大幅に改善

手術を実施する場合、最も好ましい方法は、血管内動脈瘤修復術(EVAR)です。Mimics Innovation Suiteと3D再構築モデルを使うと、EVARの手術計画を策定する際に多くのメリットがあることが確認できました。Mimicsの高度な測定ツールは、複雑な形状の寸法を精確に測定できる為、大動脈の患部の形状について精確な測定データを取得して、より深い理解に役立てることができます。

最近では、EVARを使ってより複雑な形状の患部の手術に挑戦する医師が増えているため、こうした準備が従来以上に重要になっています。3D再構築モデルを使って事前に得られる貴重な情報により、実際の手術の際に想定外の事態に出会うことがなくなり、医師は自信を持って治療をすることが可能になります。

 

また、Mimicsによって得られる精確な測定データは、さまざまなステントグラフトの中から最適なものを選択するのにも役立ちます。さらには、患者への適合性をさらに高めた新しい医療デバイスの研究開発も可能になります。最後に、手術後にも3D再構築モデルを作成することで、EVAR実施後の経過を定期的に観察し、合併症の早期発見と治療に役立てることができます。

本研究の結果、Mimics Innovation Suiteの強力な3D再構築ツールは、非常に有用であることが証明されました。3Dモデルを使って計算される指標値のFEARIは、手術に関する意志決定を支援します。また3D再構築ツールは、測定の標準化とステントグラフトのサイズ決定に役立つとともに、医師による腹部大動脈瘤の治療の改善をサポートします。

規制情報: 

文中で言及されているソフトウェアは 2014 年11 月「画像診断装置Mimics Innovation Suite」(認証番号:226AFBZI00159000)として医療機器の認証を取得し販売しております。

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