Yui Takahara 5月 6, 2015

ある若きエンジニアが3Dプリンタを初めて目にしたのは1990年。積層造形(AM)は彼の想像力を掻き立てる、革命的な生産技術でした―。当時エンジニアだったフリード・ヴァンクランと彼の立ち上げたマテリアライズは、それから25年経った今も「意義あるイノベーション」を生み出し続けています。4月23日・24日にかけてブリュッセルで開催された「マテリアライズ・ワールド・カンファレンス」は3Dプリントが生み出したイノベーションをの歴史を振り返り、その未来を考えるイベントとなりました。3Dプリント産業界を代表する世界のリーダー1000名以上が集まった、世界会議の様子をお伝えします。

 

Materialise World Conference

 

基調公演で会議が幕開け

会議はマテリアライズCEOのフリード・ヴァンクランの講演で幕開け。先進的なものづくりを助けるラピッドプロトタイピングから患者とドクターのための3Dプリント技術まで、マテリアライズ創業から25年間で3Dプリントがもたらした「意義あるイノベーション」について語りました。最新の3Dプリント活用例を紹介しながらフリードは「この25年間で我々が成し遂げた成長は、小さなイノベーションの積み重ねだ」と熱弁。

Keynote opening speech by Fried, CEO of Materialise

ウェルカムスピーチをするマテリアライズCEOフリードヴァンクラン

 

ホールは満員。Materialise World Conference

ホールは満員。

 

開催がEUの首都ブリュッセルだけに、カンファレンスにはEU関係者も参加。基調講演では欧州委員会「研究・イノベーション総局」代表が欧州全体で未来のものづくりを推し進める公共政策について語る場面も。

 

Materialise World Conference

欧州委員会「研究・イノベーション総局」代表クララ・デラトーラ

 

Brussels Square, venue of Materialise World Conference

会場のブリュッセルスクエア。ブリュッセルはEUの中心地でもあります。

 

基調講演を締めくくったのはアヌック・ウィップレヒト。ファッションと工学を組み合わせた「スパイダードレス」などの作品を生み出しているオランダのデザイナーです。3Dプリントなどの最新技術を駆使しながら「テクノロジーをお洒落に着る」ファッションを実現させている彼女。「私の作品は100%完成する事はない。プロジェクトごとに進化を遂げていくだけなの」と語っている姿が印象的でした。

 

Keynote 4 Anouk Wipprecht  Materialise World Conference

ファッションとエンジニアリングを融合する、アヌックウィップレヒト。

 

テレビの取材を受けるアヌックと、彼女のデザインしたスパイダードレスを纏ったモデル ©Wim Gombeer

テレビの取材を受けるアヌックと、彼女のデザインしたスパイダードレスを纏ったモデル

 

3Dプリント展のオープニングパーティ

その後マテリアライズCEOのフリードはブリュッセルのアートセンター「Bozar」で開催中の3Dプリント展を自ら来場者に案内。この3Dプリント展「Making a difference / A difference in Making」はマテリアライズがスペイン人建築家マルタ・マレ=アレマニーをキュレーターに迎えてプロデュースしたもの。自転車フレームから工芸品のレプリカなど、私たちの日常の一部になりつつある3Dプリント作品が展示されています。こちらは6月7日まで一般に公開中。入場無料でご覧いただけます。

 

アートセンターBozarで開催中の3Dプリント展、オープニングナイトの様子

アートセンターBozarで開催中の3Dプリント展、オープニングナイトの様子

 

3Dプリント展内を自ら記者に案内するCEOのフリード。

3Dプリント展内を自ら記者に案内するCEOのフリード。

 

 

i.materialiseを通じて3Dプリントされた、FIX3D by James Novak

i.materialiseを通じて3Dプリントされた、FIX3D by James Novak

 

積層造形サミット(Additive Manufacturing Summit

 

Additive Manufacturing Summit

 

Audiences Materialise World Conference

 

積層造形(AM)サミットでは、デザイナーやエンジニア、研究者達が集まりそれぞれの3Dプリント活用例を共有。34名の講演者と約350人の来場者を集めたこのサミットには自動車産業、航空産業、消費者向け製品開発者、更には学術界など様々な専門を持つ方々が集まり、プロトタイピングから最終製品の造形まで最新の3Dプリント活用例について活発な議論を交わしていました。

 

日本から参加してくださたた、豊田中央研究所 川本敦史氏の講演。

日本から参加してくださった、豊田中央研究所 川本敦史氏の講演。

 

Aluminium 3D printing

 

3Dプリントされたメガネを試着中。

3Dプリントされたメガネを試着中。

 

アディダス、トヨタ、エアバスヘリコプターなど製造業を代表する企業からお越しいただいた講演者の皆様、ありがとうございました!プラチナスポンサーを務めてくださったEOS、HP、Concept Laserの各社にも感謝いたします。  

 

Mimics®イノベーション・スイートサミット(Mimics® Innovation Suite Summit

 

Mimics Innovation Suite Summit

 

Mimics Summit

 

Mimics®イノベーション・スイートサミットには病院、医療機器メーカー、学術会から多くの生体工学専門家が集結。3D画像診断や3D画像による治療計画立案、3Dプリントをどのように各医療現場で活用しているのか、それぞれの視点から発表していました。今後医療現場で更に3Dプリントが広く手の届きやすい価格で活用されるよう、病院、医療機器メーカー、学術会が協力していく重要性が強調されました。

 

Mimics summ

 

Mimics®イノベーション・スイートサミット最初の講演を務めたのは、米FDA(アメリカ食品医薬品局)のジェームス・コバーン氏。「FDAの考える積層造形」をテーマにした発表は満席に。「病院における3Dプリント活用」カテゴリーの講義はどれも大変な人気でした。世界各国の病院でも3Dプリントへの注目が集まっているのがうかがえます。

 

特設ブースではMimics®イノベーション・スイート for Researchの新バージョンの見所を発売に先立って少しだけ公開

更に特設ブースではMimics®イノベーション・スイート for Researchの新バージョンの見所を発売に先立って少しだけ公開。ワールドカンファレンスは医学と工学の専門家に新たなつながりが生まれる貴重な機会となったようです。

 

あなたのための3Dプリント(3D Printing Brought to You

 

i.materialise summit

 

imaterialise summit

 

消費者向け3Dプリントサービスのi.materialiseが中心となって企画されたこのサミットでは、ジュエリーデザイナーやファッションデザイナー、誰にでも使える3Dプリント用アプリケーションを提供するベンチャー企業などが集結。イベント2日目にルーベンで開催された3Dモデリングワークショップも盛況だった様子。

 

インタビューを受ける、Twikit共同創業者のマーティンヨリス。

インタビューを受ける、Twikit共同創業者のマーティンヨリス。Twikitは消費者向けにカスタマイズ可能な3Dプリント製品を販売しています。

 

 

マテリアライズ主催のワールド・カンファレンス、来場者の方には3Dプリントで加速する「意義あるイノベーション」の最新動向を肌で感じていただけたよう。製造業、医療従事者、ファッションデザイナーなど、異なる専門分野で3Dプリントを活用する方々が集まったからこそ、専門領域を越えるイノベーションの種が生まれたイベントになりました。その他紹介しきれなかったシーンはFlickrからご覧いただけます!