先天性心疾患の診断が下され、回復が危ぶまれた男児

前例の無い治療の支援

体重3,180グラムほどで生まれた男児は、右心室に大動脈と肺動脈の両方が直接つながるという先天性の心疾患を抱えていました。また男児の心臓には、心室中隔欠損(VSD)と呼ばれる大きな穴もありました。心臓と疾患部の複雑な3次元上の関係性を理解するために、男児が生まれた当日に、きわめて低線量のCTスキャンが実施されました。しかし、スキャン画像だけでは最適な術前計画を策定することは困難でした。というのも、男児の心臓のサイズはクルミよりも小さかったからです。そこで医師たちは、マテリアライズの3Dプリントのエキスパートに相談を持ちかけました。

 

Materialise Mimicsにインポートし、セグメンテーション処理を施した男児の心臓CT画像

マテリアライズでは、心臓血管領域の専門エンジニアたちがMaterialise Mimics Innovation Suiteを使い、CTデータから男児の心臓の精確な3Dモデルを作成しました。ニューヨーク・プレスビテリアン/モルガン・スタンレー小児病院の治療チームとマテリアライズは緊密に連携し、男児の先天性心疾患を非常に細かい部分まで精確に再現しました。完成したデータは、米国ミシガン州プリマスにあるマテリアライズの医療品製造施設で3Dプリントされました。その結果、男児の心臓の3Dプリントモデルは、データを受け取ってから2日後には病院に届けられました。

治療方針の策定をサポートした男児の心臓の3Dプリントモデル

手に取って見れる小さな心臓の3Dプリントモデルが実力を発揮

男児の心臓疾患の3次元的に複雑な状況は、超音波診断とスキャンデータだけでは明確に把握できないものでした。一連の典型的な緩和治療を順次実施していく方法では、男児の生命が危険にさらされる可能性がありましたが、ニューヨーク・プレスビテリアン/モルガン・スタンレー小児病院では、この3Dプリントモデルを活用することで、すべての疾患を一度の手術で治療する理想的な解決策を見出しました。

「この手術が成功してからは、複雑な症例では3Dプリントモデルによる手術前の検討が欠かせないと感じるようになりました。今後はこうした方法が標準的になることは確実で、私たちはその最先端にいることをうれしく感じています」
–  ニューヨーク・プレスビテリアン/モルガン・スタンレー小児病院 先天性小児心臓外科 先天性心疾患専門医 
エミル・バーシャ医師

 

バーシャ医師のチームにより手術が実施されたのは、男児の生後1週間後。手術の結果は非常に良く、男児は健康な成長への道のりを歩み始めています。心配する両親に対して、医師たちは、心臓の3Dプリントモデルを使って病状と治療プランを説明しました。モデルを見て必要な処置を理解した両親は、医師のチームと同様に治療の成功を確信しました。

 

 

手術から数か月後の男児の写真。今後も健康な成長が見込まれています。

手術を受けた新生児の父親は、次のようにコメントしています。「私たちは、医療チームから心臓の3Dプリントモデルによって手術計画が明確になることを期待していると言われました。実際にモデルが届くと、状況が一変し、一気に見通しが明るくなりました。医師は3Dプリントモデルで状況を確認し、必要な治療内容を明確にし、1回の手術で全ての治療を実施できる見込みが非常に高いと説明してくれました」


アメリカCNBCでも取り上げられたこのケース。放映された内容をビデオでご覧いただけます。