人の足にかかる応力分布と快適性への影響を調べるうえで、有限要素解析は非常に有効なツールとなります。靴の内底の形状を最適化することによって足を変形させずに体重を支え、同時に足の裏の弱い部分への圧力を軽減すれば、足の快適性を向上することができます。人間の足は形状が非常に複雑なため、その生体工学的な挙動を正確にシミュレーションするには高精度の仮想3Dモデルが必要です。以下に紹介する研究プロジェクトでは、Mimicsを活用することにより、非線形有限要素解析に使用する正確で詳細な足の生体3Dモデルを短時間で簡単に作成しています。

CTスキャンデータをFEA用の完全な3Dモデルへと効率的に変換

研究チームは、マテリアライズのスライス画像3次元化ソフトウェアMimicsを使って、26歳の男性の足のCTスキャンデータを処理しました。始めに医療用画像(DICOM画像)をインポートした後、ハンスフィールドユニット(HU)値に基づくスレッショルド設定を使い、骨と軟組織を分離しました。個々の骨は、リージョングローイング機能を使ってマニュアル操作で個別のセグメンテーションマスクに分離しました。それぞれの骨に該当する個々のマスクには異なる色が割り当てられるので、個々の骨を簡単に見分けられるようになっています。これによって、骨ごとに個別の形状ファイルと3Dモデルを簡単に作成することが可能になりました。骨と軟組織から構成される足全体の構造は、ごく短時間のうちに30の

異なる領域の集合体として定義されました。Mimicsによって足全体の3Dモデルが再構築され、形状を構成するすべての骨と軟組織が再現されました。

3DのCADモデルを作成するため、各モデルはSTLファイルとしてエクスポートされました。軟骨

はセグメンテーション作業の際には再現されていませんでしたが、CATIAソフトウェア1内でモデ ル化されました。軟組織は、3次元ブーリアン演算によって作成されました。

1ダッソー・システムズの3D CADソフトウェア この方法によって軟骨は骨と完全に位置の合った状態で再現できますが、このことは、後に作成 する有限要素モデルにとって重要な意味を持ちます。 次に研究チームは、非線形有限要素解析ソフトウェアAbaqusを使って、足の骨の構造と軟骨 モデル、ならびにブーリアン演算によって生成した軟組織のボリュームデータを作成しまし た。またこのモデルに対して負荷、境界条件、材料特性、運動拘束、メッシュ離散化を定義して、 非線形解析の準備を整えました。こうして得られたFEAモデルからは、靴の内底の快適性の評 価と、ミーゼス応力や足底の接触圧力といった足の生体工学的な研究に役立つ複数の変数が 得られました。

FEAによって計算された足底の接触圧力は、実際の足底の圧力の計測値に基づいて検証されま した。この研究で作成された非線形FEAモデルは、靴の内底やその他の足のサポート器具の設計 最適化に利用することができます。このモデルによって、足の快適性を向上させるために、幅広い 種類の内底の形状と材質をテストできるようになりました。こうしたテストは、内底の設計形状と 材料の特性データを変更することによって実行できます。

本研究を通して、Mimicsは、スキャンデータから正確かつ詳細で解剖学的に正しい3Dモデルを作 成することのできる貴重なツールであることがあらためて証明されました。Mimicsは、個別の患者 のメッシュを完璧な形で作成し、あらゆるFEAパッケージ向けの形式で出力できることから、生命 工学分野の研究用ツールとして普及が進んでいます。使いやすさと高性能を両立させたパッケー ジ設計により、Mimicsはユーザーの皆様の研究プロジェクトをより高いレベルへと引き上げるお 手伝いをします。

Mimicsが選ばれる理由

- MimicsはCT、MRI、マイクロCT画像を含むさまざまな画像データセットを変換し、完璧な3Dモデルを素早く簡 単に作成して、関心領域をセグメンテーション機能によって抽出することができます。 - 豊富な機能を搭載し、可視化、CAD機能、3D医用モデル作成、有限要素法(FEA)シミュレーションモデルの作 成、数値流体力学(CFD)シミュレーションモデルの作成、ならびに手術シミュレーションなどに応用できます。 - Mimicsのリメッシュツールを使えば、自動化された高精度のリメッシュ機能をメッシュ全体または一部分に適 用することにより、FEAやCFDの厳しい要件を満たすメッシュを生成できます。メッシュの鋭角部や薄肉の壁を 検知して修正し、高精度の解析ができる高品質なメッシュにすることができます。

- Mimicsは、画像データセット内のグレーバリュー(HU値)に基づいて、メッシュの各部に材料特性値を割り当 てることができます。

これにより、より現実的な有限要素シミュレーションが可能になります。

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