Yui Takahara 10月 30, 2017

まだまだハードルの高い金属3Dプリントを成功させるために

近年金属素材への応用が広がるにつれ、本格的な製造技術として取り入れる業界も増えてきた3Dプリント。しかしデータ準備、金属3Dプリンタの調整、最適な材料選びから仕上げまで、金属3Dプリントの工程全体を思い通りに管理し、常に正確な造形を実現するのは簡単ではありません。

マテリアライズが年に数回「金属3Dプリントセミナー」を実施しているのは、そうした金属3Dプリントユーザーの皆さまの悩みにお答えするため。毎回のセミナーでは金属3Dプリントに最適なデータ作り、品質管理やトレーサビリティ管理などのトピックに触れ、ソフトウェアの力で金属3Dプリント事業を効率化するコツをお伝えしています。
 

マテリアライズの金属3Dプリント工場の様子
マテリアライズの金属3Dプリント工場の様子


金属3Dプリントを効率化する3つのソフトウェア操作を体験

ソフトウェア操作の講習は金属3Dプリントに最適なデータ作りを支援する「Materialise 3-matic(トリマティック)」からスタート。粗くなりがちなトポロジー最適化後のデータを整えたり、有限要素解析ソフトにデータを出力できるこのソフトウェアは、3Dプリントでなければ実現できない高度なものづくりを支援します。

続いて参加者の方々は3Dプリントで造形したパーツの品質管理を効率化する「Materialise Inspector(インスペクター)」、そして3Dプリント製造工程全体の統括を可能にする「Materialise Streamics(ストリーミックス)」の操作を体験。Streamicsは金属3Dプリントで航空機用エンジンの量産を開始したGEや、国内で金属3Dプリントをいち早く始めたコイワイ様の製造現場でも導入されているソフトウェアです。


関連記事:国内3Dプリントのパイオニア、コイワイの目指す次なる3Dプリント事業とは
 

金属3Dプリントに適したデータ作りを助ける Materialise 3-matic の操作を習得中
金属3Dプリントに適したデータ作りを助ける Materialise 3-matic の操作を習得中


ゲストスピーカー陣は国内外の金属3Dプリント事例を紹介

午後のセッションは、マテリアライズ創業者兼CEO、フリード・ヴァンクランの講演でスタート。1990年にフリード自身が貯金をはたいて買った一台の3Dプリンタから始まったマテリアライズの歴史や、さまざまな業界の常識を変えてきた3Dプリント事例を紹介しました。

「3Dプリントによる製造活動、ソフトウェア開発、新型3Dプリンタの開発支援、3Dプリントの強みを活かしたものづくりを支援するエンジニアリングサービス、それらを兼ね備えたマテリアライズのような会社は、実は3Dプリント業界でも珍しい」と語ったフリード。3Dプリントにおけるソフトウェアの重要性については、次のように語っていました。

「頼れるソフトウェアや制御装置なくしては、インダストリー4.0内の3Dプリントの価値を最大化することはできない。 世界中のどこであっても、3Dプリントされたパーツの裏側ではソフトウェアが常に動いている。ソフトウェアでさらなる3Dプリントの自動化や効率化が可能になれば、インダストリー4.0も大きく前進するでしょう」
 

マテリアライズ創業者兼CEOのフリード・ヴァンクラン
マテリアライズ創業者兼CEOのフリード・ヴァンクラン


続いてはマテリアライズの金属3Dプリントセンター長、インゴ・ウッケルマンが講演。2015年ドイツ、ブレーメンにオープンしたこの金属3Dプリント工場では現在チタン、アルミ、ステンレススチールなどでの造形が行われています。

インターネット中継を介して行われたこちらの講演内では、Atosとマテリアライズの共同設計により従来比66%の軽量化を実現した人工衛星用ジョイント部品など、金属3Dプリントの強みを活かした高度なエンジニアリングの事例が紹介されました。

また金属3Dプリントセンター長インゴはブレーメン工場の生産体制、品質管理やコスト管理に関する取り組みにも言及。こうした実践的なアドバイスに対する関心は高く、講演後は参加者の皆さまから多くの質問が寄せられました。

最後のゲストスピーカーはマテリアライズのソフトウェアを長年利用いただいている国内ユーザー様2社。壇上では各社での金属3Dプリント事例を紹介いただきました。「国内のパイオニア的企業の取り組みを知り、刺激になった」と語る方も多く、講演後に行われた懇談会でも国内の金属3Dプリント事情に関する議論が続いていました。
 

関連記事:チタン製人工衛星用ジョイント部品、金属3Dプリントで66%軽量化
 

新型3Dプリンタ開発を支援するマテリアライズの取り組みも紹介
新型3Dプリンタ開発を支援するマテリアライズの取り組みも紹介

日本ユーザー様向けた新たな二つの取り組み

講演会の締めくくりには、マテリアライズジャパン代表のヨウ・アンセウより日本のユーザー様に向けた新たな製品とサービスの発表を行いました。一つ目のニュースはMaterialise 3-matic 日本語版の発表。「国内のお客様にも3-maticをもっと使いやすく」との思いから開発された日本語版は、3Dプリントを活用する設計者の方への強い味方となるはず。二つ目は日本初の「メタルアカデミー」開催について。マテリアライズ本社のエキスパートが講師を務め、金属3Dプリントを成功させるコツをじっくり学べる二日間の集中講座です。

講演会後に開かれた懇親会ではベルギービールで乾杯
講演会後に開かれた懇親会ではベルギービールで乾杯  ​

今回のセミナーと講演会に参加いただいた皆様、ありがとうございました。マテリアライズではこの他にも国内での金属3Dプリント関連のイベントを実施していく予定です。今後のセミナー参加に関してのお問合せ、「これから金属3Dプリント造形を始めたい」といったご相談も受け付けています。ソフトウェア事業部までお気軽にご連絡ください。

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