Yui Takahara 9月 8, 2016

&designshop の創業者であるエルウィンとニンケ・ヴァンダーホークの2人は、プロジェクト開始当初から3Dプリントで模型を製作することを想定していました。ただそれには立体出力可能な3Dファイルが必要です。3Dプリントも3Dモデル制作の経験も十分にあった2人ですが「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」ほど複雑なデータ制作が必要なプロジェクトは初めて。そんな &designshop の救世主となったのが、映画「ミヒール・デ・ロイテル」の助監督でした。

 

光造形3Dプリンターで出力、オランダ船レプリカ

非常に細かなディテールを再現できるのは、光造形3Dプリンターならでは。

 

デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェンの造船を命じ、自ら船長も務めたオランダ海軍提督、ミヒール・デ・ロイテルの一生を追ったこの映画は、特殊効果を手がけるベルギー企業「Grid VFX」の助けを借りて作られたもの。助監督の紹介を受け、&designshop は Grid VFX から映画に登場した軍艦の3Dモデルを入手することに成功しました。

 

3Dプリンタ製軍艦の全体図

軍艦の全体図。1.5mの船本体は光造形3Dプリンターで出力されました。

 

3Dデータを手に入れた &designshop が次に訪れたのはマテリアライズ。まずはデザイン・エンジニアリング事業部がデータは出力可能か、修正や厚みを増す必要があるのはどこか、造形後の組み立て用に分割する必要がある箇所はどこか等、3Dファイルをくまなくチェック。修正が必要な箇所にはデータ準備ソフト Materialise Magics を用い、データを3Dプリント用に最適化しました。

 

17世紀オランダの巨大軍艦レプリカ制作プロジェクト

ごく細かなデザインが多く組み込まれたレプリカ。出力準備はMaterialise Magicsで行いました。

 

デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェンのレプリカ制作において更なる問題となったのは、1.5mにもなるそのサイズです。このように大きなレプリカを3Dプリントするには通常何パーツかに分割しての造形が必要ですが、マテリアライズは世界最大の3Dプリンターのひとつ「マンモス光造形3Dプリンター」でそれを回避。3Dモデルの非常に細かいディテールも表現できるよう、出力には樹脂が使用されました。同時に帆や大砲などその他のごく小さな部品はレーザー焼結技術で3Dプリント、ロープはナイロン素材で手作りし、漸く全てのパーツが完成。

 

薄く小さいパーツはレーザー焼結3Dプリンターで再現。

薄く小さいパーツはレーザー焼結3Dプリンターで再現。

 

約40時間のデータ準備、11日間の造形と仕上げを経た軍艦のレプリカはオランダ人模型技師Wasili Angelopoulos氏のもとへ送られ、研磨、プライマー塗布などの準備を経た後塗装の段階へ。歴史的資料を参考にしながら本物の戦列艦に忠実に色付けされ、最終組み立てが完了。現在はロンドンのプライベートギャラリーに常設展示されています。

 

3Dプリンタ製レプリカ オランダ船 塗装完了後

塗装された船の前面。本物を忠実しています。

 

レプリカが3Dプリントされる様子はビデオでもご覧いただけます!プロジェクトのデータ準備に活躍した3Dプリント用ソフトウェア、Materialise Magicsに関して詳しくはこちらから。その他のお客様事例はケーススタディ一覧からどうぞ。

All photography by Femke Poort, commissioned by & designshop.

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