ヘレナの左足上部に不具合が見つかった当初、その原因は感染症と思われていました。しかし後の画像診断の結果、別の事実が明らかになります。ヘレナが患っていたのは骨に発生するがん、骨肉腫でした。

事態をさらに複雑にしたのは、腫瘍が膝関節のすぐ近くにあったこと。通常の腫瘍切除を行うには、膝関節と腫瘍の間に少なくとも3cmの距離があることが条件です。この間隔が確保できないヘレナの場合、膝関節全体の切除、つまり足の切断が避けられないことを意味していました。「踊るのが大好きなヘレナの人生が、この手術で大きく変わってしまう」。ヘレナの母親ステファニーさんがそう心配したのも頷けます。

ヘレナの担当医、ベルギー、ゲント大学病院の整形外科医シス医師は、それでも何とか膝を温存する方法はないかと模索。「3Dプリントを活用すればこの状況を変えられるかもしれない」と考え、マテリアライズとの共同作業を開始しました。
 


 

ヘレナのCT/MRI画像をもとに製作された、3Dバーチャルモデル

医用画像の3Dモデル化が、緻密な手術計画を支援

シス医師と臨床技師のチームはまず、ヘレナのMRI画像やCT画像から必要な部分だけを抜き出して3D化。この作業には専用ソフトウェアMaterialise Mimicsが用いられました。

患者の生体構造を忠実に3Dモデル化し、手術前にコンピュータ上で観察したり、手術シミュレーションを行えることは外科医にとって大きなアドバンテージとなります。治療チームは忠実に再現されたヘレナの骨の3Dモデルに基づき、細かな手術計画を策定しました。
 

 

 

Guides are designed to remove tumor with respect of margin.

医療機器も患者に合わせてカスタム3Dプリント

さらに治療チームは、手術で使用する医療機器もヘレナの身体に合わせて3Dプリントすることを決定。骨切りやドリリングに最適な位置、角度、深さなどの決定を補助するサージカルガイドと、腫瘍切除後の骨を固定するためのチタン製金属プレートがヘレナの骨に合わせて3Dプリントされました。

3Dプリンタ製サージカルガイドと金属プレートの併用で、悪性腫瘍を除去しながらもヘレナの膝関節温存に成功したシス医師は「3Dプリント技術のおかげで、慎重かつ確実に悪性腫瘍を除去することが可能になりました。これこそ患者一人ひとりに本当に合った治療方針を可能にする技術です」とコメントしています。

 

「これこそ患者一人ひとりに本当に合った治療方針を可能にする技術です」

 

術後のヘレナは化学療法を経て、現在も定期的な理学療法を継続中。完全回復までの道のりはまだ長いものの、幼いヘレナは笑顔を忘れず根気強くリハビリに励んでいます。

 

規制情報

日本では一切お取り扱いしていない医療機器、また日本では薬事未承認の医療機器への言及がございますが予めご了承ください。

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