Yui Takahara 11月 28, 2016
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新潟大学工学部機械システム工学科、プラムディタ・ジョナス・アディティヤ先生は衝撃工学・バイオメカニクス領域のエキスパート。日本でも増えつつある人工股関節全置換術(THA)用器具の設計改善や最適な位置決定を目指して有限要素解析(FEA)を取り入れた先生の研究には、マテリアライズの生体医工学用ソフト Mimics Innovation Suite for Research も活躍しています。今回はFEAとバイオ・メディカル・エンジニアリングの関係にスポットを当てるとともに、プラムディタ先生の詳しい研究内容を動画で公開!ここでしか観られない貴重な講演です。

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骨粗鬆症で股関節を痛める人は、高齢者が増加する日本では特に増加傾向にあります。特に大腿骨と股関節をつなぐ「大腿骨頸部」の骨折は激痛とその後の歩行困難を引き起こし、高齢者の寝たきり状態を引き起こす原因になってしまうことも。大腿骨頸部骨折の治療として日本全国で広く行われているのは、折れてしまった大腿骨の一部を人工股関節に置き換える人工股関節全置換術手術(Total Hip Arthroplasty, THA)。ただし人工股関節は歩くたびに相当な負荷がかかる部位だけに、長時間使用すると骨の中に埋めた金属インプラントが緩んでしまう場合もしばしば。結果10~20年で再置換手術が必要となる例も報告され、その耐久性が課題となっています。

 

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プラムディタ先生のウェビナー内プレゼンテーションより

 

今回講演いただいた新潟大学工学部機械システム工学科のプラムディタ先生は、こうした整形外科領域の課題に材料力学の観点からアプローチ。人工股関節全置換手術後の大腿骨有限要素モデルの構築、有限要素解析(FEA)を用いた骨リモデリング解析手法の確立、長期間の使用にも耐えうる股関節インプラント形状の開発やその初期位置の研究に、マテリアライズの Mimics Innovation Suite for Research をフル活用されています。

 

Materialise MimicsでCTスキャン画像から抽出した大腿骨のイメージ
Materialise MimicsでCTスキャン画像から抽出した大腿骨のイメージ

 

こうした解析の準備段階ではまず解析対象を「メッシュ化」し、そこに材料特性を割り当てます。ただし今回のように生物学的構造を解析するする場合、その複雑で有機的な形状ゆえ、各要素に骨密度などの材料特性の割り当てを正確に行うのは簡単ではありません。今回の研究でプラムディタ先生がこの課題解決に用いたのが、材料特性の割り当てを自動化し、研究作業の効率を格段に上げる Mimics Innovation Suite for Research の「FEAモジュール」。メッシュ生成、材料特性の自動割り当て両方に使えるこのモジュールについてはこちらのビデオでも詳しくご覧いただけます。

 

FEA module mimics
プラムディタ先生のウェビナー内プレゼンテーションより
 

 

プラムディタ先生の研究の全容と結果は、こちらのウェビナー専用ページから!簡単な登録だけで時間を選ばずご覧いただけます。  

ウェビナーを観る

 

  更に「FEAモジュール」を使ってメッシュ生成する方法が学べるチュートリアルや、世界の生体医工学とFEAのエキスパートによるウェビナーも公開中。ぜひ皆様の研究にもお役立てください。また2017年1月19日名古屋にて開催の「第29回バイオエンジニアリング講演会」前日18日には、今回研究に使用された Mimics Innovation Suite for Research の操作を無料で体験できるハンズオンセミナーも実施予定です。セミナーのお申込みやその他のソフトウェアに関してのご質問、お問い合わせもお気軽にどうぞ。

 

【FEAモジュールのチュートリアル動画】

How to Generate Complex, Non-Manifold Assembly in Materialise 3-matic
How to Make Non-Manifold Assemblies in Materialise 3-matic

 

【その他FEA関連の研究発表ウェビナー】

Human Body Modeling for Injury Prediction and Prevention: From Image to FEA
Presented by: Dr. Scott Gayzik, Associate Professor of Bioengineering, Wake Forest University, USA

アメリカにおいて最大の死因は不慮の事故であり、その3割を自動車事故が占めています。そこで米韓仏の大学と研究所はいかに自動車事故と衝突による傷害のリスクを減らせるかリサーチを実施。Mimics Innovation Suiteで人体の3Dの幾何学モデルを作成し、シミュレーション技術を駆使したこの研究は、ホンダ、ルノー、日産、フォード、GM、ヒュンダイ、タカタをはじめとする日米韓の大手自動車会社から成る自動車業界のコンソーシアムから研究開発費を得て実現しました。ダミーモデルと人体モデルのシミュレーション結果を比較したこの研究においては、モデルの基となった様々な年齢と体形の被験者の医用データが重要な役割を果たしました。昨年度Mimics Innovation Awardを受賞されたウェイク・フォレスト大学医学部外傷バイオメカニクス・センター、バージニア・テクノロジー准教授のScott Gayzik博士の講演です。

How to Maintain Accurate Bone Geometries in Your FEA Meshes
Presented by: Dr. William Parr, Surgical and Orthopaedic Research Laboratory, New South Wales University, Australia

2015年度に弊社はMimics Innovation Suiteで作る三角形メッシュの品質を更に向上するべく、メッシュでお困りのユーザーからシステム要求を募る「FEAチャレンジ」を実施しました。チャレンジで選ばれたお客様には、弊社の精鋭のエンジニア集団が最高品質のメッシュを無償で提供するという内容のものです。このFEAチャレンジで最優秀賞に選ばれたのが踵骨(かかとの骨、しょうこつ)の形態学(モルフォロジー)を10年以上研究されている、William Parr博士。現在オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ大学でポストドクトラルをされています。このウェビナーでは海綿骨のスポンジ状の構造をいかにメッシュで再現し、より精度の高いシミュレーションをするか、そしてMimics Innovation SuiteのFEAモジュールの機能拡張によってどのように研究を一歩進めることができたかご講演いただきました。 Parr博士は「今回の機能拡張によって、今後2、3年の骨のモルフォロジー研究が革新的に進歩するだろう」と仰っています。

Discover the Optimal Placement of Pedicle Screws through Patient-Specific Finite Element Analysis (FEA)
Presented by: Arpan Saluja & Jitendra Singh, Materialise

こちらのウェビナーは、脊椎固定術の術前に固定用のねじを挿入し、バーチャルでシミュレーションをするための3Dモデルの作成方法のチュートリアルです。Mimics上でDICOMからの患者さんのデータを取り込み、3次元化し、また固定用のねじの3Dモデルを作成し、挿入した状態のメッシュ生成、材料特性の割り当てまでの一連の作業をMimics Innovation Suiteのパッケージで一環して行うことができます。

※こちらでご紹介しているMimics Innovation Suite for Researchは研究開発用です。医療現場や臨床現場で使われるMimics Innovation Suite for Medicalに関しては、別途お問い合わせください。

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