yui 3月 21, 2017
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米ミネソタ州、ロチェスター市内のメイヨー・クリニックは先進的医療で世界的に知られる医療機関。臓器モデルの3Dプリントをアメリカでもいち早く取り入れた医用3Dプリントのパイオニア的存在でもあるメイヨー・クリニックは、2015年から3Dプリントがもたらす医療イノベーションを学べる大学院レベルのコース「Collaborative 3D Printing in Medical Practice」を主催しています。

どうしてメイヨー・クリニックは医療現場に3Dプリントを本格導入したのか。3Dプリントの登場で、医療はどう変わるのか――。そんな疑問の答えを探るべく、マテリアライズ社員が前回コースに参加し「医用3Dプリント導入時の5つのポイント」を学んできました。

3D printing in healthcare: complex reconstruction case © Mayo Clinic

 

放射線科医、放射線技師、外科医、生体工学エンジニア、その他医療分野のプロを対象に行われるこのコースは、複雑な術前計画、教育、患者とのコミュニケーションなどに役立つ臓器モデルの3Dプリントについての知識を広め、最新の医用3Dプリント動向を紹介する目的で始まりました。

コース内では、医療の現場、研究機関、教育目的のメディカル3Dプリント最新事例に加え、実践的なコツを紹介。外科医や臨床医などのゲスト講師が複数参加し、臓器モデルの3Dプリントがヘルスケアの質向上につながった事例を参加者にレクチャーします。


前回のコースに参加する貴重な機会を得たマテリアライズ社員が、3日間に渡る講義への参加で学んだ「医用3Dプリント導入時の5つのポイント」をまとめました。
 

1. 3Dプリント臓器モデルを使う一番のメリットは「患者中心のヘルスケア」の実現

患者さんとのコミュニケーション円滑化は、3Dプリント技術を医療に応用する最大のメリットのひとつ。3Dプリントの本格開始はどんな病院にとってもそれなりの投資を必要とするものの、一旦導入が完了すれば、真に患者第一のヘルスケアを提供できるようになります。

ドクターが3Dプリントした臓器モデルを使って医療方針を説明すれば、そのポイントがより明確に患者に伝わりやすくなり、双方が納得した上でのインフォームド・コンセントが実現。

またリアルな臓器モデルを手に取って術前準備を行えば緻密な計画が立てやすくなり、その結果、患者さんへのサービス向上にもつながります。

Vesalius_Brain_Model_cover.jpg


2. 3Dプリントを臨床判断支援の材料として用いるなら、クオリティは最重要事項

単に3Dプリントと言っても、その品質は様々。なかでも3Dプリント臓器モデルの多くは医療行為の一部を計画するために使われるため、最高レベルの品質が要求されます。

臓器モデルを作成するには、3Dプリント用モデル製作に適切な医用画像の入手、専用ソフトウェアの利用、較正済みの3Dプリンターを使った出力など、さまざまなステップを踏む必要があります。

臓器モデルの3Dプリントにおける品質維持のポイントは、このような異なる工程をまとめて管理する中央品質管理システムを用意しておくこと。各工程ごとに明確なワークフローを定義しておくことも、臨床的判断を助けるのに十分な品質の臓器モデルを3Dプリントする上で重要な点です。
 

3D Printing in healthcare: a 3D-printed pelvis tumor © Mayo Foundation for Medical Education and Research


3. 3Dプリントの利用で、院内スタッフのコミュニケーション活発化が期待できる

放射線科医、外科医、麻酔医、看護師、その他の臨床医を含めた院内スタッフを結ぶ共通の土台として機能する3Dプリント。スタッフ同士が活発にコミュニケーションを取れていれば、患者さんへのケアの質向上につながります。さらに専門領域を超えてスタッフ同士が協力することで、技術革新や新たな取り組みを推進する文化を組織内に育てることも。

anatomical model 3d printing patient communication.jpg


4. 中央3Dプリントラボを設置して、病院全体で3Dプリントを多目的に有効活用

院内に中央3Dプリントラボがあれば、複数の診療科が3Dプリントを利用できるようになり、病院や医療機関全体で3Dプリント技術のメリットを受けられます。中央3Dプリントラボは医用3Dプリントのノウハウの蓄積、運用コストの低減といった面でも有効です。

以前の記事ではイギリスNHS財団シェフィールド大学病院の臨床技士、ピーター・メセラル博士が病院内に医用画像用「3Dイメージング・ラボ(中央放射線室)」を新規に立ち上げた経験を語ってくださいました。

3D Printing in healthcare: visualizing a pancoast tumor

 

5. 早めの導入で今から経験を積もう

3Dプリントは新しい技術であるがゆえ「前例も経験もないこと」が原因で導入見送りになってしまうこともしばしば。でも3Dプリントのような先進技術を利用しはじめる際は、どんな組織もエキスパート並のノウハウを持っている訳ではありません。

すでに3Dプリントを導入しているその他の病院、研究機関を視察したり、その他の業界で3Dプリントを積極利用している方のアドバイスを受けながら3Dプリントを運用していけば組織内にノウハウが構築され、すぐにコツをつかめるようになるでしょう。


今回のメイヨー・クリニック主催のコースで講師を務めたジョナサン・モリス医師には、4月にベルギー、ブリュッセルにて開催されるマテリアライズの国際カンファレンス「マテリアライズ・ワールド・サミット」でも医用3Dプリントの最新事例をご紹介いただきます。ヘルスケア業界の最新3Dプリント動向を知りたい方、世界のヘルスケア産業のリーダーと直接交流しながら人脈を広げたい方に最適なこのサミット。詳細はイベントウェブサイトプログラム一覧からご覧ください。