yui 10月 24, 2016
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北極と南極探検を経た後、極地を旅する果敢な観光客グループを率いるガイドとして働くベルギー人冒険家、ディクシー・ ダンセルコール氏。北極や南極のような過酷な環境で目を守ってくれるサングラスは冒険家にとって大変重要なアイテムですが、珍しい鼻の形をしている彼には、中々合うものが見つけられないのが悩みでした。特に顔とフレームの間に隙間が空いてしまうことは、極寒の地では命取りともなりかねません。そんなダンセルコール氏の悩みを解決したのは、マテリアライズ、SEIKOオプティカル、眼鏡デザイン企業のフート・デザイン・スタジオ三社のコラボレーションにより生まれた、完全カスタマイズ可能な3Dプリンタ製サングラス「SEIKO Xchanger」でした。

SEIKO Xchanger とは

「誰にでも合う、カスタマイズ可能なスポーツ用サングラスを作りたい」とのアイデアから生まれた SEIKO Xchanger (エクスチェンジャー)。一人ひとりの顔や好みに合わせて、フレームのサイズや色、傾きの具合を変えて3Dプリントできるのが特徴です。空気の通り道をフレーム設計が組み込みレンズを曇りにくくしてあるのは、厳しい寒さの中でサングラスを必要としている冒険家やスキーヤーのニーズを考慮してのことです。

 

SEIKO xchanger functions

 

マテリアライズ、SEIKOオプティカルフート・デザイン・スタジオの三社のコラボレーションで生まれたこのサングラスですが、イメージ画が出来上がった段階から6ヶ月で製品化されたもの。3Dプリントによる製造はマテリアライズが行います。さらにマテリアライズの3Dプリンター制御システム「Materialise Control Platform」を使用して眼鏡の3Dプリント専用にチューニングされた造形機だけを使用。その高いデザインと機能性から、昨年“眼鏡のアカデミー賞”とも言われるSilmo d’Or(シルモドール)賞も受賞しています。SEIKO Xchangerの3Dプリント過程は下記の動画から。

彼の顔に合わせて作られたSEIKO Xchangerをかけて新たな遠征へ出かけたディクシー・ ダンセルコール氏。彼のベルギー帰国の貴重なタイミングに合わせてその経験を詳しく取材してきました。

―まずは簡単に自己紹介をお願いします。

北極圏、南極圏を主に探検しているディクシー・ ダンセルコールです。氷の上にいない時はベルギー、スイス、アメリカ等で講演などをすることもあるので、充実した毎日ですよ。

 

3dprinted-sunglasses-in-north-pole-dixie

 
―今回SEIKO Xchanger を極圏へ持っていこうと思った理由は?

北極や南極を旅する冒険家にとって、サングラスはかなり重要なアイテムなんだ。厳寒の海や氷の裂け目に囲まれる中、太陽光が氷面で強烈に反射されたり、放射線の強い地域やオゾン層に穴が空いている地域があったり。そうした過酷な状況下でサングラスやスキー用ゴーグルは欠かせない。風や寒さにやられて目が開けられなくなり、数日間テントで過ごすことを強いられた経験もあったから、それはもう絶対に避けたいと思っていた。 Xchangerの事を知ったのは、妻と一緒に講演した際。マテリアライズの取り組みもその場で知って「このサングラスをかけて極圏へ行って、究極の耐久性テストをしてはどうか」と突飛なアイデアを思いついたんだ。

―Xchangerのデザイン工程から製品づくりに関わる経験をどう感じられましたか?

ユニークな形状をした僕の顔に合ったサングラスは、3Dプリントだから実現できるものだと実感した。僕の鼻梁は高くて、既成のサングラスだと顔から浮いてしまうんだ。そうすると顔とサングラスの間に隙間が出来て、極寒の風や放射線にさらされることになる。過酷な環境下では、それが命取りにもなりかねないんだ。今回はスキャンをとった後に設計の調整をしたから、僕の顔にもぴったりのサングラスが出来上がった。他の冒険家やスポーツ選手にも同じような悩みを抱えている人はいるだろうから、こうした完全オーダーメイドのサングラスは今後ますます流行すると思うよ。

 

3dprinted-sunglasses-scanned face

 
―今回の遠征でのサングラスのかけ心地はいかがでしたか?

冒険家がサングラスに求めることは2つ。ぴったりとフィットすることと、目を保護することだ。今回使ったXchangerはその両方の役割を立派に果たしてくれた。専用レンズのおかげで視界も広々していたし、前の製品のようにレンズの曇りで悩まされることもなかった。カスタマイズ製品は既に冒険用の装備にいくつか取り入れているけれど、このXchangerもその仲間入りだね。

 

3D printed eyewear north pole expedition

 
―これまでの遠征中、何か印象に残った出来事やピンチを切り抜けたエピソードは?

手の指も足の指もまだ10本ずつ全部ついているから、僕はそれなりにうまくリスクを回避してきたってことだろうね!でも本当に心から美しいと思うの光景は、めったに見られない動物に出会えたときかな。数年前グリーンランド遠征に行った際、全く予想していなかったところにホッキョクギツネが現れたんだ。しかもいきなり僕らに向かって一直線に走ってきて、いきなり僕の足を噛みつこうとしたから驚いたよ!とっさに追い払ったんだけど、通常のホッキョクギツネの行動ではないから狂犬病にかかっているのではないかと一緒にいたイヌイットの男性は言っていた。荒々しい環境の中で、珍しい動物とこんな不思議な対面が出来て光栄だけどね。

 

hokkyoku-kitsune
出典:Wikipedia

 

自分の足で北極・南極を旅したい!というチャレンジャーは、Polar Circlesのサイトからディクシー・ ダンセルコールさんの極圏ツアーにお申し込みをしてみては?その際は専用ウェブサイトでカスタマイズしたSEIKO Xchangerサングラスを持っていくのもお忘れなく!

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